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「人生は20代で決まる」を再読して—残りの人生を有利にする重要な時期

2、3年くらい前に一度読んで衝撃を受けたのですが、今になって再読すると、環境や心境の変化のおかげか、色々考えさせられました。
あの頃は満たされてたんだなぁ。と思ったり、惜しいことをしてたなぁ。とか今になって少し後悔したり。と思ったりして、折に触れてたまに読むと気づかさられる本だな。と

そんなふうに思わされるのも、20代という10年間は人生においてもっとも変化する時期であるからです。
思春期が終わりかけ、脳の発達も大人への最終段階に入ります。その中での様々な出会いや経験が人格や思考、行動を形作り、20代以降の人生を「どうやって生きていけるか」が決まる。
だから、人生は20代で決まる。と筆者は語るのです。

人生の謳歌と選択の先延ばし

特に、20代の時期は様々な変化を起こす選択肢があります。
仕事選び、家族選び、将来設計。と、どれもこれもそのさきの人生において、重要な選択であり、その選択は今までにない大きな変化となります。

しかし、それらの選択を先延ばしにしてしまう事があります。周囲の大人や、世間の風潮などがきっかけでしょう。
周りの大人たちは、「20代が一番楽しい時期だから謳歌しなさい」とか「結婚も仕事選びも後からできる」「君たちはなんでもできる」と言ってきたり、世間の風潮も、20代を謳歌する華々しい若者を取り上げたり、30代以降で人生をリスタートさせたりする人々を取り上げて、人「生は後からでも、どうにでもなる。」というメッセージを間違って受け取ってしまいます。

確かに、結婚も仕事選びも一昔前よりも遅くなっていることは確かでしょう。
しかし、だからといってそれらを先延ばししてしまうことは決して賢い選択ではないのです。

例えば、大学を卒業しても非正規雇用など、特に、スキルにも経験にもつながらないような仕事を続けていると、本当に就きたい仕事に気づいた時に、それが叶わなかったり、結婚などのお金のかかる環境の変化が起きた時に、必要なお金が捻出できなかったり、年齢に見合ったお金が稼げなかったりします。
スキルも経験もキャリアも、必要な時に取り出せるものではないのです。

また、結婚の先延ばしも後々後悔する事があります。
世間がいくら20代以降の結婚が増えたとしても、僕らの体の作りは世間には合わせてくれません。特に出産がそうです。
子供を産むには20代がもっとも産みやすい時期です。これは女性だけの問題ではなく、男性にも関わる話です。
20代を終えると、体の機能が衰え始め、出産できる確率が激減していきます。さらには生殖機能が衰えるだけではなく、精子や卵子も置いていきます。それらは、生まれる子供の認知障害のリスクを高めてしまいます。

もちろん、30代を過ぎてから難なく出産される人も少なくはないです。
しかし、第一子に続いて、兄弟を作ってあげたいと思った時に、年齢が障害となって叶えてあげれないこともあります。

出産という選択を先送りにしたが為に、子供を授かれなかった家庭は少なくはありません。
子供のいない家庭は、そんな家庭を選んだのではなく、先送りにして手遅れになってしまったことの方が多いのです。

先延ばしにしてきた選択は、全てが後から取り戻せるものではないのです。
そして、それは将来設計を可能性を狭めてしまいます。
だから、「20代を謳歌する」という、名目にかまけて、人生の様々な選択を先にばしにすることは、後々の後悔につながってしまいます。

こんなこと誰も教えてくれなかった

20代を謳歌し、30代で人生を計画し始めた時に、それらの事実に直面する事があります。
そして、自分の残された可能性に後悔したり、誰も教えてくれなかった!と嘆いてしまいます。

大人たちは20代の選択肢に無限の可能性を見せてくれますが、その選択をした先のことは何一つ教えてくれないのです。
確かに、20代という若者には無限の可能性があるかもしれませんが、手が届く範囲の選択肢は無限とは程遠い、両手で事足りる程度の選択肢しかありません。

しかし、僕らは数少ない有限の可能性で将来を見るよりも、無限の可能性の中から夢を見ることを強いられます。そして、それらは20代に平凡な選択をすることに不安と恐怖を与えます。

僕には無限の可能性があるから、今目の前の選択肢を選んだら、もっといい夢のある可能性を失ってしまうのではないか?と考えて、選択することに怯えてしまいます。

その結果、目の前にある選択肢から目を逸らし、無限の可能性という幻想に浸って、いつまでも人生の選択を先送りにしてしまい、30代になった時に突然現実世界に引き摺り込まれ、自身の無力さに苛まれてしまうこともあります。

未来は選択のその先にある

30代になった時に、先延ばしした様々な選択に手をつけるのは大変です。
仕事を選び、キャリアを築き、パートナーを選んで、結婚を考え、出産、新たに住むところ、子供が生まれた時の将来設計、子供の将来、老後への準備…。
これらを一気にやることは大きなストレスとなり、どこかで歪みが生まれ、人生を狂わせてしまうかもしれません。

そして、先延ばしにした選択をあたらめて目の前にした時には、選択肢はさらに目減りしています。
前述したとおり、思うようにキャリアを築けなかったり、家庭を作れなかったり。と、どれもこれも人生に大きな影響を与えます。

だから、20代で選択を先送りにすることは良い方法ではないのです。
20代のうちに選べる選択肢は、さらなる選択肢をうみ、大きな広がりを持った選択肢になっています。反対に、先送りした選択肢は、驚くほど目減りしていて、その選択のさきの未来も広がりを失っています。

つまり、人生は20代で選んだ選択肢で決まる。のです。
目の前の選択肢から目を逸らさず、真剣に向き合い、考える。そう言った事が、20代の未来を作り上げます。

そいう行った事が本書に書かれています。
おそらく、20代の未来を正しく見せてくれる唯一の本でしょう。

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