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どうして僕らの仕事は終わらないのか—あなたの成果を密かに奪う犯人は?

なぜ僕らの仕事は終わらないのでしょうか?
忙しいせい?時間がもっとあれば終わっている?
残念ながらそれらは幻想です。

労働時間が増えても仕事は終わりません。
なぜなら、余計なことに時間を奪われていて、忙しい!時間がたりない!という幻想に陥っているのです。

忙しい幻想の正体

忙しいとう幻想に陥っている原因は3つあります。

  1. 集中力を容易く奪われている
  2. 1つの仕事に集中できていない
  3. 仕事をしている気になっている

という、原因です。

目新しいモノに集中力を持っていかれる

僕らの仕事が終わらない原因として真っ先に上げたいのが、そもそもの集中力が続いていない。ということ。
なぜ続かないかというと、僕らは目新しいモノにすぐに集中力を奪われるのです。
では、目新しいものとは何かというと、誰からのメールや電話、メッセージです。

あなたがどんなに集中していても、あなたの集中している姿が見えない相手は、容赦無く電話やメールを飛ばしてきます。そして、画面に表示される新着メールや電話の音に直ぐさま反応するような優秀な社会人たちは自分たちの集中を犠牲にして、直ちに応答します。

また、集中モードに切り替えるテクニックの記事で書いたように、
僕らの集中力をそこにいるだけで奪う存在。スマートフォンも諸悪の根源です。
電話が鳴らなくても、メッセージがこなくても、スマートフォンは僕らの集中力を奪います。

関連記事:作業の前に手っ取り早く集中モードに切り替える3つのテクニック

マルチタスクは生産性を半減させる

あなたの仕事のスタイルはシングルタスクですか?マルチタスクですか?
もし、マルチタスクで仕事をこなしていると思っているのなら、それは勘違いです。

そもそも、僕らの脳は、マルチタスクなどという機能は備わっていません。
あるのはシングルタスクのみです。
スタンフォード大学の神経科学者エヤル・オフィル博士によると
人間は実のところマルチタスクなどしていない。タスク・スイッチング(タスクの切り替え)をしているだけだ。タスクからタスクへと素早く切り替えているだけである」
とのことです。

マルチタスクだろうがタスクスッチングだろうがどっちでもいいじゃないか。実際にこの方法でたくさんの仕事をしているぞ!という方もいますが、ここでまた残念なお知らせです。

ミシンガン大学の研究によると、
マルチタスクが個人の仕事時間を40%浪費させ、2倍の仕事をこなしている“ような気持ちにさせる。がしかし、実際の仕事の生産性は半減している。
ということがわかりました。
つまり、時間をかけて2倍の仕事をしているつもりになっているだけで、実際は余計な時間を浪費させて、尚且つ仕事の生産性を半分にさせてるだけなのです。

さらに、いつもマルチタスクをしている人は、短期的な生産性が落ちているだけではなく、情報の判断力、パターンの認識力、長期的な記憶力も低下しているということがわかりました。

いや、そんなことはない!自分はマルチタスクを上手に使って仕事をこなしている!という頑な方がもししれば、その方は、どうでもいい仕事をたくさんこなしてそんな気分になっているだけです。

どうでもいい仕事-シャロー・ワーク

マルチタスクは仕事をたくさんこなしているような気持ちにさせます。
それは、メインの仕事をやりながら、片手間にどうでもいい仕事をこなして、多くの仕事をしているような気持ちになっているだけなのです。
そして、そのどうでもいい仕事をシャロー・ワークと呼びます。

もう少し詳しくシャロー・ワークを定義すると、

『シャロー・ワーク』
あまり深い思考を必要としない補助的な仕事で、注意散漫な状態でできるような仕事で、あまり新しい価値を生み出さない、誰にでも簡単にできるような仕事。

例えば、大手コンサルティング会社であるマッキンゼーによる2012年の調査で、
平均的な知的労働者は、労働時間の60%を無駄に費やして、コンピュターによるコミュニケーションとインターネットの検索を行い、30%近くの時間をメールを読んだり、返信することに費やしている。
ということが調査結果で出ています。

つまり、僕らはほとんどの時間を余計なことに時間を、しかも誰でもでるような簡単な仕事に費やし、それらをこなして安易な達成感を得ているだけで、メイン度仕事が全く進んでいない。という状態なのです。
しかも厄介なのはマルチタスクでシャロー・ワークをしている人です。
マルチタスクで、2倍の仕事をしているような気分にさせ、シャロー・ワークで簡単な仕事で達成感を得ているので、自分は仕事をしている!という気分に拍車をかけまくっているということ。

閑話休題-僕らの仕事時間は減っている

余計なことに時間を浪費して、仕事を長引かせている割には、僕らの労働時間は減りつつあります。
OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本人の労働時間は1970年代の年間2200時間労働から2016年には1713時間まで減っています。

とは言っても、月100時間の残業が当たり前の業界もあります。
僕の知り合いも、業界柄昼夜関係なく働きます。繁忙期であれば月300時間の残業なんてザラ。
その知り合いは、電通の事件を聞いたときに「100時間の残業で自殺なら、俺らなら3回は死ねるな」と笑い飛ばしているくらい当たり前の業界だってあります。

しかし、全ての業界がそうとは限りません。業界柄もあるかもしれませんが、先に見たように、ただただ生産性を落として時間を浪費しているだけの可能性もあります。

ジョン・ロビンソン博士が「アメリカ人はどのように時間を使っているのか」について、数十年にわたって記録し続けました。
その結果、「忙しすぎて時間がない!」と考えているのに、実際に働いている時間は自分が思っている以上に少なかったのです。

多くのアメリカ人は、「週にに60時間から64時間くらい働いている」と調査で答えました。
しかし、実際に計測した結果1週間あたりの労働時間は平均で44.2時間と、20時間程度の開きがありました。

ちなみに他国でも同じよう調査をしましたが同じような結果だったそうです。
その結果に対して、ジョン・ロビンソン博士はこうコメントしています。

アメリカだけではなく、世界中の人が実際に仕事に使っている時間の合計は、過去40年間で増えていないどころか、少なくなっている。これは、行動記録を使った研究で明らかになっている事実だ。
しかし、『あなたたちは、実は毎週30〜40時間の自由な時間を余らせているんですよ』と言っても決して信じないだろう。

働いた気になってはいけない

テクノロジーに簡単に集中力が奪われ、マルチタスクで仕事をたくさんの仕事に手垢をつけ、どうでもいい仕事に時間をかけているから、僕らの仕事はなかなか終わらないのです。

そして、挙げ句の果てには、その下がった生産性にも気づかないで、自分はたくさんの仕事をこなしているという幻想を抱きならが、終わらない仕事に忙殺され、自分の仕事が終わらないことを誰かのせいにしながら働いていくのです。

しかし、その生産性の低さが露呈する時代が来るかもしれません。
コロナウイルスという世界的な感染症被害で、僕らは出社せずに各々の自宅で仕事をするようになっています。
今まで、そんなことじゃ仕事が回らないという根拠のない理論で実行されずにいましたが、急を要する事態のお陰で急遽実現しました。

それによって、あなたの価値を表すのは生産性という唯一の成果です。
今までは、会社内で忙しなくキーボードを叩いて電話に出ていれば、周囲からは働いているように見えましたが、今となってはそんなものは誰にも見えません。
見えるのはあなたの生産性のみです。
その結果、忙しそうにしていただけで成果が上がってこない人。という事実が露呈してしまいます。

そうならないためにも、あなたの生産性を奪う原因を取り払い、どうでもいい仕事から意味のある仕事に切り替えなければなりません。
つまり、「シャロー・ワーク」から「ディープ・ワーク」に切り替えるのです。

次の記事:

参考書籍

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