今週は佐藤究の作品と、法思想に関する本、そして営業に関する本を読みました。
サージウスの死神
頭蓋骨に数字を飼う
ビルの屋上から落ちてきた自殺者と目が合い、弾け飛んだ血を浴びてから主人公の人生は一変する。
その日から地下カジノに入り浸りルーレットで負けを重ね破滅仕掛ける。そんな時、ある日突然ルーレットの出目が脳に現れ始め、頭の中に数字を飼い始め、金とギャンブルの闇の中を狂気に侵されながら命を賭ける。
頭に数字を飼ったその日からルーレットで勝ちつづける。金が増えていくことに愉悦を感じるわけではなく、ただルーレットの上をアイボリー色の玉が転がり、脳に焼き付くように浮かぶ数字を眺めることに一種の憩いを感じ、ただただベッドしルーレットを眺める。
ギャンブル依存症なって言葉で現し切れない狂気で埋め尽くされていて、軽い気持ちで読んだ僕には衝撃的でした。
薬師寺が俺の方を見た。「偶然に少しでも刃向かう気なら、この男みたいに頭蓋骨の中に数字を飼うことです」
サージウスの死神/佐藤究 P98
「それは素晴らしい才能だよ。でも数字では死に対抗できない」とハセガワが行った。
法とは何か
道徳と法
誰もが法の上で生きている中で、改めて法とはなんだろうか。という問に、国家や政治思想、アリストテレス、ソクラテスなどの思想から法を解きほぐす。
法思想という領域の知識が乏しかったので、なかなか読むのに苦戦しましたが、新しい視点を得るには有意義な本でした。
どの法に置いても、突然現れたものではなくて、人類の秩序と思想の歴史、そして道徳という測ることのできない尺度の上でそれらは成り立っている。
そして、そんなことを知らなくても僕らはこの世界で何不自由なく生きていけるという事なんかを考えたり。
人としていかに行動すべきかを決めるのは道徳であり、道徳以上のものではありえないということになります。
法とは何か/長谷部恭男 P233
私はどうして販売外交に成功したか
不変の営業バイブル
55年以上前に世に出てから今だに読み継がれているトップセールスマンによる営業人生が綴られた本書。
筆者でありトップセールスマンであるフランク・ベドガーは元々営業マンではなく、貧しい家庭に生まれ、14歳で学校を中退し蒸気管の職につくが、18歳でプロ野球選手に転身する。しかし、プレイ中に腕を痛めプロ野球の世界から退き、故郷に追われるように戻り、そこで生命保険の営業マンとなる。
そんな筆者が営業マンになってからの苦節や気付きが語られている。
僕は全く営業と関わりのない仕事をしているのですが、だからと言ってそういった知識が必要ないとは限らないので読んでみました。
一言で本書を言い表すのであれば、「心の掴み方」と言ったところだと思う。
当たり前だけど、僕らは今まで話したこともなければ会ったことも無い人からものを買う。
なんの抵抗もなく買い物ができるのは、そこになんらかの信頼、例えば、ブランドだったり、売っている企業だったりがあるから。
実際そんなことを考えて買い物をすることは多くはないけれど、
高価なものだったり、どの選択肢が正しいのかわからないような商品に関しては、本当にこれでいいのだろうか?と疑問がわく。
そんな疑問を取り払って、安心して買い物をするには、売り付けてくる相手や商品が信頼するに値するのかどうか。
そんな信頼を得るには、相手の心を掴まなければならない。
筆者は、心の掴み方を実践から学び、試行錯誤し続け大きな成功を手にする事ができた。
私の成し遂げてきたことに対して自慢話のように聞こえるところがあるかもしれないが、それは決してそういう意味ではなく、いろいろなアイディアのおかげでなし得たのであって、私ならずとも、そのアイディアをうまく活用しさえすれば、誰にでもできることであるということを説明したかったまでのことである。
私はどうして販売外交に成功したか/フランク・ベドガー P9(まえがき)
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