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自分の弱さに向き合う「ALTER EGO」

これは、努力を惜しまない現実な人のための本だ。
これを読んだからと言って、人生の苦難がなくなるわけではない。しかしこの本を読めば、あなたが最悪のタイミングで予期せぬ行動を取るのを防ぎ、ここぞという場面で最高の自分を出せるようになるだろう。

ALTER EGO 超・自己成長術/トッド・ハーマン P32 (第1章 「あの人みたいになりたい」と思ったことはないか?

クラーク・ケントが電話ボックスで変身してヴィランと戦う様に、本郷猛が変身ベルトで仮面ライダー1号に変身してショッカー達と戦う様に、
もう一人の自分に切り替えて、決定的な瞬間である困難に立ち向かう戦略。
それが、本書の「ALTER EGO」の目的。

多くの企業家のパフォーマンスアドバイザーである筆者ドット・ハーマンの15年間の経験と実績を体系化した本書。
基本的には、筆者の経験とパフォーマンスアドバイザーを受けてきた人たちの経験談をもとに作られた、いわゆる、成功者の成功した方法の本。
だから、すべての人に共通して有効というわけではないのでしょう。
しかし、それでも本書のオルターエゴ戦略がうまくいく人もいるし、オルターエゴを構築するまでの方法が役に立つ人もいると思います。

非凡な世界に生きる事を望むのならば

自分の人生を変える事ができるもう一人の自分は『非凡な世界』います。
『非凡な世界』はまるで、ヒーロー達が変身して、スーパーヴィランやショッカー達と戦い世界の平和を守る様な世界です。

もちろん、僕らの世界にスーパーヴィランもショッカーも(僕が知る限りは)存在しません。
しかし、『非凡な世界』を生きるもう一人の自分は、この世界に生み出す事ができます。
そんな、もう一人の自分をつくりだして、
「自分が生きている今の世界を『非凡な世界』いに変えたい!」
と、望む人は読む価値がある本だと僕は思います。

もう一人の自分

オルターエゴについて初めて語った人物は、紀元前1世紀のローマで政治家にして哲学者でもあったキケロだと言われている。
もっとも、キケロ自信が哲学書の中で使ったのは、「第二の自己。信頼できる友」という意味だったが。

ALTER EGO 超・自己成長術/トッド・ハーマン P40(第2章 オルターエゴはどのようにして誕生したか)

「振りをする」のではなく、「思い込む」

もう一人の自分であるオルターエゴを作り上げて、ここぞという時に切り替える、つまり自分自身がオルターエゴであると思い込むのです。
この、「思い込む」という事がオルターエゴ戦略の大事なポイントで、「ふりをする」ではダメなのです。
こんな研究があります。

ミネソタ大学が4〜6歳の子供を対象に行った調査で、子供達に「自分のことをバットマンか、お気に入りのキャラクターになった」と思い込んでもらいました。
結果、何かしらのキャラクターになったと思い込んだ子供は、忍耐力が上がり、柔軟に物事を考え、しかも穏やかに実験テストをしていました。
つまり、何者かになったと「思い込む」ことで、物事に取り組むときのパフォーマンスを上げてくれるのです。

実験対象は子供ですが、もしかしたらあなたもオルターエゴになったと思い込むことでパフォーマンスを上げる事ができるかもしれません。

しかし、オルターエゴを作りあげ、自分を何かしらに思い込むまえにやらなければいけない事があります。
それは、自分自身を正しく鑑みることです。

ボトルの中から抜け出し、ラベルを読む

今、あなたが自分を、人生を変えたいと思っているのであれば、あなたは『平凡な世界』で生きています。
『平凡な世界』は、様々な環境や思いに縛られた、あなたのがんじがらめの自己が、ここぞという決定的な瞬間に立ち向かえなかったあなたが作り上げてしまった世界です。

あなたのオルターエゴにカッコいい名前(たとえ他人に言えない様な名前でも)を付けようが、
あなたが、「なぜ、『平凡な世界』留まっているのか?」という理由や原因を見出さなければ、あなたのオルターエゴはちゃんと機能してくれません。

だから、オルターエゴを作り上げるよりも先に、あなたの世界が『平凡な世界』である理由や原因を特定しなければなりません。

あなた自身を知るには、ボトルの中から抜け出し、ボトルに貼られたラベルを読まなければなりません。
一度でも正しくあなたに貼られたボトルのラベルを読むことができれば、なぜあなたのボトルがハウスワインの棚に陳列されていて、
空調されたガラス扉付きの棚に鎮座できない理由がわかってきます。
本書の価値はここにあると僕は思います。

自分自身にスポットライトを当てる

自分の弱さに向き合うこと。それも今すぐに、です。

Warren Buffett

オルターエゴを構築するよりも…

本書を前書きを読んだときは、「厨二病の延長じゃないか」と小馬鹿にして読み進めていたのですが、本気でオルターエゴを考える事がとても難しい作業でした。

実際に、本書に従って自分のオルターエゴを構築してみようとしたのですが、なかなかしっくりくるオルターエゴが思いつかなかったんですよねぇ。

「よし、仕事中はピカソのように一心不乱に目の前の作業にのめり込もう!」
と思い込んだところで、ピカソに何の思い入れもないし、そもそもそんなに頑張って仕事したいタイプではなく、適度にサボりたいタイプの人間の僕にはちょうどいいオルターエゴが見つかりませんでした。

そんな、本書の目的であるオルターエゴの構築を放棄してしまいましたが、それを抜きにしても、やはりこの本には読む価値があると思っています。

弱い自分を見つめる

本書に従って、オルターエゴを構築するのには、
『非凡な世界』の原因の特定、『非凡な世界』に変えるための、決定的な瞬間の特定をしなければなりません。

これは、今まで自分が無意識に目を背け続けてきた「弱い自分」を、ステージのど真ん中に引き摺り出し、様々な角度からスポットライトで隅々まで照らし、隅々まで覗き込むようなものでした。
「弱い自分」をわざわざ細部まで覗き込むということは、なんとも惨めで、情けない気分になります。
まるで、雨の中で路上に座り込む捨て犬を見ているような気持ちでした。

戦わずして逃げる自分から目を逸らす日々

「なんで僕は『平凡な世界』から抜け出す事ができなのだろうか?こんなにもやりたい事がたくさんあって、欲しいものもたくさんあるっていうのに、いつまでも何も成し遂げられないまま燻っていられないっていうのに….」

そんなふうに頭の片隅で弱い自分がウジウジと縮こまって嘆いている声がたまに聞こえる時があります。
そんな弱い自分に本書を通して初めて向き合う事ができました。

ノートを広げペンを握り、自分の世界を『平凡な世界』にしている理由を、自分の世界を『非凡な世界』に変えるための『決定的な瞬間』を自分に問いかけ続けました。

そして、インクとページを消費して分かったことは、
「挑戦して失敗することが怖い。その失敗から、今までの幸運で積み上げられた評価が崩れ、本当の実力が露呈したときの周りの目が怖い」
という、過去の実績を認められず、本当は無脳な詐欺師だとし思い込んでしまう『インポスター症候群』でした。

「今までの功績は、偶然と周囲の助けがあってこその功績であって、僕が一人で頑張ったところで得られた結果ではない。周囲はまだそんなことに気付いてない。でも、気付くのは時間の問題。きっともう直ぐで身近な人たちは気づき始めるだろう。。。」

そんな風に、心の奥へ隠した怯えている自分に気づきました。そして、
「あぁ、この怯えている自分が現れたときが、ぼくの『決定的な瞬間』なんだろうな」と

いつだって世界を変えるのは自分から

世の中がつまらないんじゃないの。貴方がつまらない人間になったのよっ!

桜野くりむ(生徒会の一存)

あなたのつまらない『平凡な世界』変えるのは、空から落ちてくる少女でもなく、不遇な死からの異世界転生でもなく、いつだってあなた自身、自分自身です。
だから、もし今の『平凡な世界』に嫌気が差したのならば、自分を変えるしか方法はないのでしょう。

本書に従ってオルターエゴをつくりだし自分を変えるのも一つの手でしょう。
けれども、オルターエゴを作り出すことよりも、
「なぜ自分は『平凡な世界』に居るのか?」と、自らに問いかける事の方が意味があると思います。

実際、ぼくはオルターエゴを作り上げる事がうまくいきませんでした。
しっくりくるオルターエゴに出会えませんでした。
しかし、オルターエゴを作り上げるために、
「なぜ自分は『平凡な世界』に居るのか?」
「ぼくの世界を『非凡な世界』に変える『決定的な瞬間』は、いつなのか?」
ということに時間をかけて向き合う事ができました。

そのお陰か、特に仕事をしていると、
「あ、今『決定的な瞬間』なんじゃないのか?」
と、頑張り時の瞬間に気づけるようになり、いつもより少しだけ頑張れるようになりました。

もし、あなたが自分の世界を少しでも変えたいと思っているのならば、
本書を使って、オルターエゴを構築を試しながら、自分自身と向き合ってみるのも一つの手段になるかもしれません。

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