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ルールと仕組みの重要性を学ぶ「アマゾンのすごいルール」

Cusomers Rule!
(お客様が決めるんだ!)

アマゾンのすごいルール/佐藤将之 P2(はじめに)

僕らの生活から切り離す事ができないほど身近になった「アマゾン」という会社のルールと仕組みについてを、
アマゾンジャパンの立ち上げメンバーとして2000年から15年間在籍していた筆者によって書かれた、アマゾンがアマゾンたる所以の仕組みとルールの本「アマゾンのすごいルール」の紹介です。

本書は、アマゾンがここまで大きな会社に成長する事ができた仕組みとルール。
例えば、リーダシップやビジネスモデル、目標達成、人事など、
個人レベルでも会社レベルでも参考になるルールが詰まった一冊。

そもそもアマゾンのルールに興味がなくても、本書を通して、自分の中に一つのルールを制定することで成長や問題解決につながるという事が学びとれると思います。

アマゾンを支える仕組みとルール

「Good intention doesn’t work.Only mechanism works.」
(「善意」は働かない。働くのは「仕組み」だ)

アマゾンのすごいルール/佐藤将之 P54(第1章 基本理念)

本書にはリーダーシップや目標達成、創造性の向上など様々な場面でのルールがありますが、それらの土台となる大きなルールと仕組みがあり、それが

  1. カスターマーエクスペリエンス
  2. セレクション
  3. Virtuous Cycle

この三つがアマゾンを支える大きな仕組みとルールになっています。

カスタマーエクスペリエンス

大前提として、カスタマーエクスペリエンス(顧客中心)、つまり「お客様を常に優先する」というルールがアマゾンを支えていて、全てのルールの根幹であり土台となっています。

アマゾンは大きな利益が見込めそうな企画でも、お客様へのサービスが低下するのであれば却下されるほど、カスタマーエクスペリエンスを徹底しています。
この徹底さがアマゾンを大きくした理由の一つなのは間違い無いでしょう。

さらに、アマゾンはこの「カスタマーエクスペリエンス」という企業文化が、世界のロールモデルとなるようにと、自らが全ての企業の見本となるように考えて、このルールを遂行しています。

2012年にある社員がベゾスに「アマゾンの10年後はどのようになっていますか?という質問をした時にこのように返していました。

おそらく10年後には、我々が気付き上げた『顧客中心の文化』が他の企業や産業、組織に受け入れられ、今我々が追い求めているのと同じ理念で活動する組織が生まれてくると思う。
例えば、病院や学校などの公共機関でも、より顧客中心のサービスが当たり前のようになっていくと思う。
その時、アマゾンは、そのロールモデルとして、それらの組織の見本となっていなければならないと考えているよ。」

アマゾンのすごいルール/佐藤将之 P50(第1章 基本理念)

セレクション

アマゾンは「オンラインで求められるあらゆるものを探し、発見でき、購入できる場を創ること」を2つ目のビジネスモデルとして掲げています。

今となってはアマゾンで手に入らないものはないのではないでしょうか。
日常消耗品から新鮮な野菜、挙句の果てにはダイアモンドまでアマゾンで探すことができます。
それもアマゾンのビジネスモデルの一つ「セレクション」です。
この世に一つでもその商品があれば、なくなるまでその商品を扱い続けるという姿勢です。

このビジネスモデルを後押しするのが「フルフィルメント・バイ・アマゾン」というサービス。
個人がアマゾンに出品することができ、アマゾンが在庫管理、受注処理、発注まで代行するサービスでもあるのです。
このサービスによって、アマゾンでの品ぞろえが豊富になり、ニッチな商品まで扱うことができるようになります。

ロングテール戦略

さらに、アマゾンはリアル店舗と異なった品揃えの戦略を取っています。
それが、ロングテール戦略です。

リアル店舗では、売り上げの8割は取扱商品の2割の売れ筋商品が占めています。
アマゾンは、これを逆転させました。つまり、売れている上位2割以外の、下位8割の商品の取扱量を増やしたのです。

ロングテール戦略が打ち出された時に、アマゾンは30万タイトルの書籍を一気に購入して品揃えへ一気に充実させたそうです。

当時のアマゾンは書籍を主に扱っていました。なので、リアル書店で取り扱っていない商品を求めた消費者は、インターネットで商品を探し始めます。
すると、リアル書店と真逆の戦略を取っているアマゾンの品揃えに行きつき、結果的に商品は売れ、顧客満足度が向上します。それは必ず売り上げにつながるでしょう。

Virtuous Cycle

Virtuous Cycleとは下の画像で描かれているサイクルで、アマゾンのベジネスモデルを表したものです。

さて、この図式がどうなっているかを簡単に説明すると、
アマゾンが成長(GROWTH)する事で、企業規模や物流量が多くなるとスケールメリットが得られ、商品や物流のコストが少しづつ低くなっていき、低コスト(LOWER COST STRUCTURE)になっていきます。

すると、取扱商品のコストも抑えられるので低価格(LOWER PRICES)化していきます。
商品が安く買える事で、消費者は喜び、顧客満足度(CUTOMER EXPERIENCE)が向上し、アマゾンへの来店者数(TRAFFIC)が増えていきます。

来店者数が多い施設で商売をした方が売り手は儲かる可能性が高まります。なので、売り手がわもアマゾンへ出店しようとしますので、売り手の数(SELLERS)も増えていき、今まで取り扱っていなかった商品が増えます。つまり、品揃え(SELECTION)が豊富になります。

結果、豊富な品揃えは、新たな顧客満足を生み、サイクルが再び回転し、アマゾンは成長を続け、顧客満足度を上げ、サイクルを回転させ続けるのです。

いやぁ、とんでもないですね。完成されすぎています。

正しいルールと仕組みが成長を促す

ほかにもリーダーシップや目標達成、アイディアの創造などなど様々なルールが載っていますので、大変参考になると思います。
とはいっても、人のルールを真似したところで成功するかと聞かれれば何とも言えないところ。
逆に言えば、参考にしかならないって話でもあります。

アマゾンのルールや仕組みを真似たところで、アマゾンにもベゾスになれるわけでもないでしょう。
本書から学べることは、大前提となる大きなルールと目的をつなぐルールや仕組みを作ることの重要性。
そして、そのルールが個人や企業の発展を裏付けるものとなる。という事。

そのルールは、個人や企業の価値観に準ずるものなので、どんなルールが大前提となるかはそれぞれ変わってきます。
アマゾンは、「顧客中心」という大きなルールを土台にして、様々な目標や問題解決をするために多彩なルールを作っています。
それは、「顧客中心」という大きなルールがアマゾンの、ベゾスの価値観であり、それがベゾスが考える正しいルールだったという事。
つまり、その価値観に準じたルールや仕組みが確立され、それを全うする事で、僕らは成長する事ができるのでしょう。

Still Day One.

もし、自分の価値観に基づいたルールが無いのであれば、考えてみるのもいい機会かもしれません。
アマゾンではベゾスの言葉を用いた合言葉があります。
それは、「Still Day One.(まだ1日目)」です。
何も始まっていなくても、逆に何かを達成した後でも、まだ1日目。始まったばかりなのです。
今日という日が始まったばかりなのですから、まだまだできる事があります。
今日も明日も、あなたの未来を決める1日目でしか無いのですから。

(自叙伝を書く予定は無いか?と聞かれたベゾスの返事)
はーっ、はっ、はっ、そういうオファーがないわけでは無いよ。
でも、僕は自叙伝なんてとても書けないよ。だって、まだ何も始まってないんだから。
アマゾンの今までの過去を普段の生活に例えるなら、僕は目覚ましがなってようやく目を覚まし、やっとのことでベッドの上に起き上がった…..それくらいの状態なんだよ。
これから着替えもしなきゃならないし、歯も磨かなければならない。朝ごはんを食べて車のエンジンをかけて会社に向かう。そんな状態の僕が、どうやって自叙伝なんて書けるんだい?もし書くとしても、まだ第1章すらかけないんだよ。
アマゾンはまだ始まったばかり、Still Day One(まだ1日目)なのさ」

アマゾンのすごいルール/佐藤将之 P72(第1章 基本理念)

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