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生産性と価値を高める「ディープ・ワーク」—最高のパフォーマンスと成果を生む方法

先日の記事で、僕らは働いていると思っていても、実際は大して働いていないかもしれないという事実が判明しました。

その原因は、あれやこれやと様々な仕事に手をつけるマルチタスクで集中力を散漫にし、様々なメールやメッセージに集中力を奪われて、「シャロー・ワーク」というどうでもいい仕事にばかり時間をかけてしまっているのです。

そして、その散漫した仕事である「シャロー・ワーク」に意識を奪われずに生産性を高め、意味のない仕事から意味のある価値ある仕事に集中する「ディープ・ワーク」にシフトする必要があります。
そして、余計な仕事に邪魔をされないために、予めトラブルの原因を潰したり、次の仕事がスムーズになるような活動に時間をかけること、スティーブン・R・コヴィー著の「7つの習慣」でいうところの「第2の領域」に時間をかけることです。

その結果、緊急対応の仕事に奔走することもなく、自分が時間をかけて取り組むべきタスクに集中できるようになり、品質も速度も高レベルな生産力を身につけることができ、あなたの価値を高めることになります。

ディープ・ワーク

ディープ・ワーク
自身の能力を高めた、注意散漫のない集中した状態で行われる活動。

つまり、ディープ・ワークとは注意散漫な仕事や学習から抜け出し、目の前のタスクや物事に限界まで集中して取り組むことです。
そして、このディープ・ワークに取り組む努力は、あなたにとって新たな価値を作り出し、スキルを向上させ、他の誰にも真似できないような存在になることができます。

他の誰にも真似できないような存在については後で説明するとして、まずは、ディープ・ワークを実践するために、どうでもいい仕事である「シャロー・ワーク」を減らしていく必要がありますが、特に必要なことは、マルチタスクを徹底的にやめて、シングルタスクにこだわることがディープ・ワークへの最短ルートです。

シングルタスクにこだわるために

シングルタスクに拘るためには、まずはマルチタスクを徹底的に排除する必要があります。
前回説明した通り、マルチタスクは手をつけたタスク全てを中途半端にしてしまい、シャロー・ワークの原因となって、やればやるほど成果が上がりません。

関連記事:どうして僕らの仕事は終わらないのか

マルチタスク神話

一時期マルチタスクは素晴らしいと持ち上げられていました、残念ながらマルチタスクは先ほどから述べているように、生産性を下げるだけです。

そもそも、人間の脳はマルチタスクがちゃんとこなせるような仕組みなっていません。僕らの脳は、タスクからタスクへ移ると、注意力がついてこないで、前のタスクに意識を置いてきぼりにしてしまいます。
そして、置いてかれた注意の意識は最初に手をつけていた移る前のタスクについて考え続けてしまいます。
つまり、次の仕事に上手に意識を向けることができないのです。この現象は、最初に手をつけていたタスクへの集中してた度合いが低ければ低いほど、意識は前の仕事に残り続けてしまいます。
困ったことに、仮に最初のタスクを終わらせて、次の仕事に移ったとしても注意力は分散したままなのです。

だから、新しいメールが届くたびにメールチェックをして必要であれば返信する。という10分もかからない作業に移ったとしてもあなたの注意はそれてしまう。最悪な場合は、そのメールがすぐに対処できないようなメッセージだった場合です。
すぐに対応できない仕事は、注意が切り替わらないことに加えて未処理の仕事というタスクとして残りより注意散漫な状態で手をつけていたメインの仕事に戻ることになります。そのせいで、メインの仕事の生産性は低下してしまいます。

すぐにメッセージをやり取りできるテクノロジーは便利ですが、その分僕らの生産性をこっそり奪っているのです。
だから、なるべくメールチェックの頻度を減らしましょう。
例えば、自分で決めた時間以外はメールのブラウザを開かない。そして、決めた時間になったら、一気にメールをチェックして、一気に返信する。
しかし、メッセージに目を通さなくても、緊急の連絡はメールではなく電話でやってきます。
この緊急対応が多ければ多いほど、一つの仕事に集中できずに奔走してしまいさらに生産性は下がり続けてしまいます。

だから、緊急対応に奔走しなくて済むような仕事を予めしておかなければなりません。
そのためには、「第2の領域」の仕事を増やす事です。

「第2の領域」

効果的な人々は「問題ではなく機会に着目する」のである。
機会に餌を与え、問題をうえさせるのだ。先を見て対策を講じる。

7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー P205 (第3の習慣 最優先事項を優先する)

「第2の領域」とは、人生哲学の定番「7つの習慣」の中の仕事と時間を管理する考え方の中の一つの領域です。
その時間管理の領域は4つあります。

  • 第1の領域:重要で緊急な仕事
    例えば…緊急対応や差し迫った問題、期限のある仕事
  • 第2の領域:緊急ではないが重要な仕事
    例えば…予防や生産性を高める作業、人間関係作り、新しいチャンスや可能性を見つける事、次の仕事の準備や計画、リラックスするための活動
  • 第3の領域:緊急だが重要ではない仕事
    例えば…急な用事、電話、メール、報告書、多すぎる会議、無意味な接待や付き合い、期限のあるイベント
  • 第4の領域:重要でも緊急でもない仕事
    例えば…雑用や取るに足らないメールや電話

つまり、第1の領域は「緊急対応」第2の両機は「段取り」第3の領域は「シャロー・ワーク」第4の領域は「暇つぶし」と言い換える事ができるでしょう。

往々にして僕らの仕事の注意や集中を奪っているのは「第1の領域」と「第3の領域」である「緊急対応」と「シャロー・ワーク」です。この領域ばかりに時間をかけてしまうと、緊急事態を予防する活動や次の仕事をスムーズに進めるための活動である「第2の領域」、つまり「段取り」が疎かになってしまいます。
その結果、また緊急対応の火が吹き初め、火消しに奔走してしまい、段取りに時間をかける暇がなくなりるというループに陥ってしまい、生産性は高まるどころか下がり続けてしまいます。

だから「段取り」に時間を費やす事で「緊急対応」への火消しの仕事が減り、現行の仕事や次に控えている仕事の生産性が高まります。
しかし、ここで注意散漫になってしまう「シャロー・ワーク」の仕事ばかりしていたりモチベーションが上がらないという理由で「第4の領域」である「暇つぶし」ばかりやっていたら、「段取り」に費やす時間がなくなり、結果としてやはり「緊急対応」の仕事ばかりに奔走することになってしまいます。

ディープ・ワークがあなたの価値を高める

時間をかかけて良いものができるのは当たり前です。僕らは、早く良いものを提供してくれるからその人や会社にお金を払って仕事を依頼します。だから価値があるのです。

シャロー・ワークを排除し、ディープ・ワークに専念し、良いものを早く生み出す事ができれば、あなたの仕事の品質も速度も向上していき、いずれ一流の生産性を生む人物になるれるでしょう。
ディープ・ワークはあなた自身の価値を高めてくれる活動でもあります。

そして、生産性だけではなく、難しいことや新たな技術を習得させ、さらにあなたの価値を高め他の誰でもない存在になる事ができます。

僕らが仕事を日々こなしている裏では、少しずつ少しずつテクノロジーという安くて早い代替え品が忍び寄っています。
テクノロジーが人間の代わりに仕事丸々奪うことはできませんが、その仕事の中の作業は奪う事ができます。
そうすると、あなたの業務は減っていくぶん新たな業務ができるようにならないと価値が下がっていってしまいます。

だから、ディープ・ワークで自身の価値を高める事で、新たな技術を習得し、一流の生産性を維持しながら自分の価値を貫く事で、不確実で変化の激しい未来を自身の力で生きていけるのではないかと考えています。

参考書籍

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