…違う、そういうことじゃないんだよなー。聞いてないなぁ…
こんなこと身に覚えがありませんか?
その度に、「どうしてさっきまで話しをしていたのに、的はずれなことを言っているのか?」と思うのではないでしょうか?
実は、「人は自分の話す番が近づくと、聞くのを辞めて話す準備を始める」のです。
あなたは大丈夫ですか?
前後90秒が思い出せない。
言われてみれば確かに準備をしている気がしますね。
なんとなーく身に覚えがあります。 そんな事を実際に調査した実験があります。
国家運輸安全委員会の調査官だったマルコム・ブレナーは大学院である心理実験を行なった。
まず、テーブルの上に、英語の刊行物で最もよく使われる500語から選んだ単語を書いたカードを伏せて置く。
次に、被験者が自分の前のカードを一枚めくり、声に出して読む。
そしたら、隣の被験者も同じことをを行い、それを順番に繰り返し、25の単語が表を向いたところでやめ、被験者は出てきた単語を90秒の間にできるだけたくさん思い出して書き出す。
結果は、ほとんどの被験者は自分が読んだ単語は簡単に思い出し、
向かいの人が読んだ単語もまずまず思い出せました。
しかし、うまくいかない場合が一つありました。
近隣の人、すなわち直前の3人と直後の3人が言った言葉はなかなか思い出せなかったのである。
僕らは、話そうとする前だけでなく、話した後も周りの話を聞いていないようです。
それはなぜなんでしょうか?ブレナーの実験を引用した参考文献の考察によると
人は自分の話す番が近づくと、90秒前には聞くのをやめて話す準備を始める。だから前の人の発言は耳に入らない。パフォーマンスの計画-クラスのみんなの前で素晴らしいコメントをしたい、会議で鋭い指摘をしたい、あるいはパートナーに言い返さなければならない-にエネルギーをそそくと、その直前のリアルタイムの情報を処理できなくなるのだ。
(中略)
ブレナーの研究ではまた、発言後に再び聴く態勢を整えるのに同じくらいの時間が必要だということもわかった。このクールダウンによって、自分のパフォーマンスを振り返ることができるのだが、受けは良かったか、インパクトを与えたか、次は何を言おう?そう考えている間には人々の反応が頭に入ってこない。重要な情報も聞き逃す。
STRETCH/スコット・ソネンシェイン
耳が痛いですねー。身に覚えがありまくりです。まんま僕です。
では、的はずれなことを言わないために、出来ることはあるのでしょうか?
えぇ、あります。それは…
Yes and…話法
「Yes and」話法とは、もともと即興劇の技術です。
相手からの発言を「Yes」と受け入れた上で、さらに「and」する。
つまり自分から出したアイディアを追加することで、即興劇中の世界観・設定・登場人物たちの関係・ストーリーなどが構築されていくのす。
僕たちは、この即興劇技法に倣って、相手の話を聞いたら「Yes and(そうだね、それに…)」と、話しを肯定するように続ける事をすればいいのです。
相手の発言を肯定し、それに続けて話すということは、相手の話によく耳を傾け、その話で「相手は何を思って話しているのか?」を理解しようとする姿勢になるんですね。
これが出来ていないと、的はずれな発言になってしまうのです。
ただの愚痴を聞いてほしいのに、話を遮って解決方法などを提示してくる男性みたいですね。
だから、相手の話を聞くときは、「Yes and」を意識することで、ぼんやりと話を聞いている状態よりも、確実に相手の話をくみ取れるのです。
簡単なようで結構難しいんですよねこれ。なんせ肯定的な言葉を続けなければいけないのですから。
普段から「相手の話を聞かないで否定していたんじゃないか?」と、ドキッとしてしまいました。
閑話休題-コミュニケーション能力が上がるんじゃないか仮説
「Yes and」を使う事で、相手の話を肯定し、話が弾む。そして、的外れな意見を言わずに済むようなる。ということは、
会話が円滑になり相手が気持ちよく話せるので、「この人は話を聞いてくれる」という印象が残る。
「結果的に信頼関係が築けるでは?」と考えています。
心理学でいうところの「自己開示」や「認知的不協和」のよくある掛け合わせに繋がるんじゃないかなーと。
「自己開示」も「認知的不協和」も有名な心理学用語なので、調べればすぐにわかるのですが、この掛け合わせをざっくり説明すると、「私のプライベートをこんなにも話す(自己開示)のだから、私は、この人を信頼しているはずだ(認知的不協和)」という感じです。
つまり、自分のプライベートを話す相手は基本的に、親しい間柄の人です。なのに、こんだけ話している自分がいる。という矛盾が起こり、それを解消するために、「私はこの人を信頼しているからだ!」という風に脳が処理するのです。
仮説と言っておきながら、結局はメジャなテクニックですね。
では、結果的に相手からの信頼まで得る事が出来る「Yes and」を的確に使えるようになるにはどうすればいいのでしょうか?
それは、「相手の視点」を理解する事です。
あなたは共感していますか?
「相手の視点」を理解することができれば、相手が何を思って話しているのか?何を求めているのか?なんてことも気がつきます。
「相手の視点」を理解するということは、「相手に共感する」事と言い換えれます。
共感が会話の中で生まれれば、自然と「Yes and」になりますよね。
思えば、「あぁ、それ分かるなぁ…」と会話の中で思った数が多いほど、話が盛り上がったような気がします。
共感するのは分かったけれど、あまり共感能力は高くない気がするなぁ…と思ったそこのあなた!共感能力を高める方法があったんですよ。しかも一人で出来るんです。
共感能力を高める方法、それは、「読書」です。
共感能力を高める読書とは?
トロント大学の研究で、「作家の名前をたくさん知っている人ほど、コミュニケーション能力が高い」というデータがあります。
この研究では、作家の名前をたくさん知っているほど、読書をたくさんしていることという事を示唆しています。
つまり、日頃から読書をしている人ほどコミュニケーション能力が高くなるという事です。つまり、読書好きほど共感能力が高く、他人の心の状態を予測する、人の気持ちになって動く能力が高いという事です。
ちなみに、ここでいう読書とは、小説を読む事を指します。
小説には人の感情の揺らぎ、人と人との会話などが描かれています。これらを日頃から読み解いていることが、コミュニケーションのシュミレーションになっているというのです。
人間関係をリセットして自由になる心理学/メンタリストDaiGo P118
文学に触れる事で、相手に共感する心が養われるなんて素敵ですね。
最近はビジネス書や歴史に関する本、小説はエッセイやミステリばかりだったので、前から興味があった古典や名作を取り入れてみようかなぁと。
まずは「聞き上手」を目指してみる
話し上手は聞き上手と言いますが、聞き上手だから相手の言いたいことを理解し、それに対して的確な発言ができるから話し上手になるんですね。
的外れな事を言わない話し上手になりたいのであれば、まずは、相手の言葉に耳を傾けてみてはいかかでしょうか。
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