今年もなんだかんだ100冊読書が済んでいました。まぁ、カウントしていない本もあったりするのでこの数字に意味はないのです。
それでも、このカウントは僕が意味を持って読書を始めた時に始めたことなので、せっかくなので続けています。
今年で四年目。カウントを初めて500冊を超えました。この先どのくらいの本が読めるんだろうか。
今週は、コンビニの店員として生まれた主人公の物語と、料理の素朴な疑問に答える科学の本。それと、世界のテーマパーク化しているという評論集を読みました。
コンビニ人間
「普通」とは
36歳彼氏なしのコンビニ店員歴18年。周囲とのズレを隠すために日々同調して生きていた。
ある日、コンビニに一人の男性が新入りで入ってくる。その一人の男性との出会いで、主人公の人生は一転する。
そんな風に聞くと、ドラマチックな展開が待っている様に勘違いしてしまう。主人公の人生にラブロマンスは起きない。
人生の好転もしない、じわじわと、紐がほつれ絡む様に鈍く堕落する。
しかし、主人公はそんなこと気にも留めない。まるで第三者の様な視点で自分の人生を傍観している。
世間とのズレを修正するために受け入れる主人公と、世間とのズレを受け入れきれずに不貞腐れたように生きる新入りの男性。そして、その周りの「普通」の人々。
そんな三者が織りなす物語が、ぼくの「普通」という価値観を揺らがせた。
この物語には「普通」を掲げる人たちがたくさん登場する。
そんな「普通」な人たちと、主人公のやり取りを読んでいると、どちらがズレているのが分からなくなる。
僕らは当たり前の様に「普通」というけれど、それはただの大多数に適合する習慣だったり様式、思考、行動でしかない。そこから外れた時に僕らは「普通」じゃ無くなる。ただそれだけなのに、少しズレてしまえば、自分が「普通」と思っている人たちから是正の言葉を投げかけられる。
いつしか、周囲の「普通」を脅かさない様に、自分も「普通」の仲間入りをする。そして、今度は自分がズレた人を見つけ、是正を促そうとするんだろう。
コンビニは強制的に正常化される場所だから、あなたなんて、すぐに修復されますよ。
コンビニ人間/村田沙耶香 P73
料理の科学②
料理は科学だ
料理の素朴な疑問に答える本パート2
料理始めたての理系はどんどん読めるだろうな。と思った一冊。
パート1同様、素朴な疑問に筆者が真剣に答える。
素朴な疑問も言われてみれば、確かになぜだろう。と思う様な事ばかり。
なるほどなぁ。と読んでいると箸休めの様に、それに関連するレシピが登場する。読んでて終始楽しかった。
個人的には、電子レンジや冷蔵庫の仕組みの解説が一番面白かった。
電子レンジがオーブンより早く加熱できる理由や、皿が回っている理由、金属を入れてはいけない理由などなど…
なんとなく仕組みは知っていたが、わかってはいなかった。
だからこそ、本当に納得して仕組みを理解することができた。
どこにでもあるのにも関わらず、電子レンジは不可解な家電ナンバーワンの地位を維持しています。確かに電気で動くのだけれど、それ自体は熱くなることもなく、夢にも思わなかった様な方法で商品を加熱する。これは、百万年を超える歴史の中で初めての斬新な加熱調理方なのです。
料理の科学②/ロバート・ウォルク P120
テーマパーク化する地球
誰が為のテーマパーク化
本のタイトル通り、地球という世界はテーマパーク化している。と、哲学者であり批評家であり経営者である筆者の視点で語られる。
この本の中でよく出て行くるのが、原発事故のあったチェルノブイリと福島の話。そして驚いたことは、前者は観光地の様になっていてツアーが存在するということ。
それを不謹慎というのか、それともその思考は日本だけのものであって、日本がズレているのか?そんなことを考えてしまう。
もちろんどちらが正しいなんてことはないのだが、福島原発に関しては、まるでそんな事故はなかった様に日本は振舞って行こうとしている。
復興は震災が起こる前に戻すことであって、まるで時間を戻して、震災の起きなかった世界線を選びすすもうとしている様にも見えなくもない。
しかし、今では起きたことは全て世界に拡散され、その地で起きたことは0と1の決して消えることのない世界に記録される。
そして、その記録はその地をテーマパーク化する。そうやって、世界の、地球のテーマパーク化が進み続けてくのだろう。
シンガポールのホテルで出会った、クロックスを履いた少年を連れた中国人一家。彼らは貧しくない。しかし富裕層というほどのものでもない(そうだったら僕と一緒のホテルに泊まったりしていない)。フラット化する今の世界経済は、彼らの様な新しい「グローバル・アッパーミドル層」の欲望を一気に解き放っている。
テーマパーク化する地球/東浩紀 P27
(中略)
ツーリズムのフラットな視線が引き起こすその変化を、地球のテーマパーク化とでも呼んでみよう。
そう、僕たちは今、地球全体がテーマパーク化しつつある時代に生きているのだ。
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