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今週の読書-鏡面堂の殺人、言葉にして伝える技術、使える脳の鍛え方

涼しいというか少し寒い日が続いていたと思ったら、7月らしい気候になってきましたね。
暑いのは嫌いですが、アイスコーヒーを喉に流し込んだ時の、清涼感と苦味で体と脳が潤う感じが今しか味わえないと思うと、悪くはないかな。なんて思います。

今週は、引き続きに続き「堂シリーズ」と、ソムリエの表現技法に関する本、正しい勉強ってなんなの?という疑問を解消する本を読みました。

鏡面堂の殺人

運命というもの

最終章の一つ前。クライマックスへのお膳立てか。そんな印象になった一冊。

十和田只人が主人公かと思ったら、宮司百合子と善知鳥神が藤衛と対立する物語になっていた!
まぁ、もともと著者もシリーズ化するつもりはなかったから、そうなっても仕方がないこと。それに、主人公が誰だろうとこの物語は大きく回転しながら進んでいくのだろう。

今作は、鏡面堂という沼四郎の原点である場所で、かつて起きた事件を手記を辿りながら進んでいく。その中で起きた殺人が次の最終作に繋がるという。
例によってクローズドサークルな訳で、相変わらずのからくり屋敷なので建物をフル活用したトリックで筋は通っているのだけれども、現実的にどうなんだろう….なんて、野暮なことを思ってしまった。そもそも今更じゃないか。
だから、最終作へ収束させるためのお膳立てであり整理するための物語なのかな。と

この堂シリーズも次でラスト。シリーズという大きな物語は一体どんな収束を見せるのか楽しみです。

鏡面堂は滅びる。あと百年もすれば崩れ去る。あと千年もすれば、瓦礫を植物が覆い尽くす。あと一万年もすれば、土へと還る。初めから何一つ存在してなかったような、澄まし顔の自然に戻る。けれど……たとえそうなったとしても、宿命は朽ちることがない。運命へと昇華させるまでは、いつもすぐそこで、誰かを食いつくさんとばかりに残酷な口を開けているの。だから…..あの島はまだ、ある。今もまだ、あり続けている。藤衛とともにね。

鏡面堂の殺人/周木律 P436

言葉にして伝える技術

ソムリエの表現メソッド

パラパラと頭の中で浮かぶ形のない思考を、何らかの形にして留めておかないと、せっかくの思考もどこかへ消えてしまう。
その、なんらかの形に留める最も簡単な方法が「言葉」にすること。
そして、その言葉の表現力が乏しければ、詳細な形に留められない。

そんな風に、自分の思考を「言葉」に変換する技術って必要だよなぁー。と最近思ってまして、そんな中で見つけた一冊

必要なのは「五感の引き出し」

ワインの説明書きを見ると「え、そんな風味がするの?」と、いつも思います。
そんな多様な表現力ってどうやって培うのだろう。と思ってたのです。

で、結論を言えば、実際に自分の五感を使って多くの物に触れる。ということでした。
つまり、自分が今まで五感で感じてきた物をどれだけ記憶の引き出しに入っているのか?ということで、五感の引き出しが乏しければ、多彩な表現はできません。逆に、引き出しにたくさんのものが入っていれば、多彩で鮮明な表現ができます。

「洋梨の香り」とか「ライラックの香り」とか、香りの言われた時に、
「あぁ、こういう風味ね」と、自分の五感の引き出しに入っていますか?
僕は、そもそもライラックってなんだよ!というレベルです。それに、ラベンダーの香りとか言われても、芳香剤でしか嗅いだことないかもなぁ。

この本のメインは表現するにはどうするの?ということですが、
その前に、よく聞く「おいしい」の表現は上手に表現できてないですよー。って章があるので、食レポ的なことをしている人は一度読んでおいた方がいいかもしれないですね。

相手があってはじめて成立している、その最たるものが、ビジネスの世界です。まず、表現力を身につけ、言葉をTPOに応じて自在に使いこなすことができれば、複雑な人間関係がスムーズになります。

言葉にしてして伝える技術/田崎真也 P203

使える脳の鍛え方

誰も教えてくれない科学的な学び方

社会人だからこそ学び続けなければいけない世の中です。
しかし、一日のほとんどを仕事と睡眠に取られているので、最も効率的で正しい勉強法ってなんぞや?と思って購入した一冊。
去年からずっと欲しかったのですが、アマゾンでずっとずっと入荷待ちだったんですよね。

他の勉強法関連書籍と違うのは、科学的根拠に基づいているので、筆者の主観的な結果から導き出した無根拠な勉強法が入ってないところ。
そういう本って、時間を捻出したりビジョンを掲げた根性論だったりするんですよねぇ….

この本の中で個人的に面白いな。と思ったのが、今までの学習方法が効率的でもなんでもなかったこと。
例えば、何度もテキストを読むことは時間の無駄だし、長期記憶として定着しないし、読み慣れてきて定着したという錯覚をおこしてしまう。というボロボロな結果。
他にも、忘却曲線に沿って忘れる前に暗記するよりも、忘れたタイミングで思い出す訓練をした方が効果的だし、集中して同じジャンルの勉強をすると問題に対する判断力がつかなかったり。

と、読めば読むほど、今までの勉強はなんだったんですかねーと思わざるを得なくなりますね。
というか、勉強を教える前に「勉強法方」を教えるのが先なのでは???
しかし、そんなことを思いながらも、数々の実験結果が載っているので、モチベーションが上がって勉強したくなりましたね。
何か資格の勉強でもしようかなぁ

昔ながらのやり方は今も理論や、教訓や、直感の中で生きているが、実は落とし穴がある−最も効果的な学習法は直感に反するのだ。

使える脳の鍛え方/ピータ・ブラウン、ヘンリー・ローディガー、マーク・マクダニエル P3

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