暦の上では夏が終わり、今の暑さは残暑です。
去年の今頃は残暑なんて言うには残りすぎでしたが、今年は割と夜は涼しいので、夏の残りが暦を彩っているような気がします。
今週は、朝霧カフカのシリーズ物と小説とモノ作りの合わさった、ちょっと変わった作品。そして、内向型人間の秘めた力を紐解いた本を読みました。
注文の多い注文書
ないもの、あります
この世界に存在しないものを注文する短編集。
この世に存在しないとは、サリンジャーや村上春樹などの小説に登場する話や物たち。
そんな物語に出てくる品物を求める注文書に答えるのが「クラフト・エヴィング商會」
こちらは実際に存在するグループ。この世に存在しない物を製作するグループらしいです。
本書を読むまで全く知りませんでした。
実際の作品をもとに新たな物語を作り出し、さらにモノまで作ってしまう。という新たアプローチで展開される本書は人に勧めたいくらい面白いです。
どの物語も夢と現の間のような曖昧で摩訶不思議な雰囲気を纏っていて魅力的で面白かったのですが、個人的には触れた箇所が見えなくなっていく「人体欠視症」という病気の治療薬を注文する「人体欠視症治療薬」が切なくもあり、好きでした。
小説というよりもアートに近いんじゃないかなぁ。
見れば、その看板には「ないもの、あります」なる謳い文句。
注文の多い注文書/小川洋子、クラフト・エヴィング商會 P7
創業は明治で、「舶来の品および古今東西より仕入れた不思議の品の販売」と謳い文句は続いています。
店の正面にはガラス張りの陳列棚が-
ガラスに指を当てて中を覗くと、得体の知れない商品の数々。
曰く-ガルガンチュワの涙、雲砂糖、四次元コンパス、道化師の鼻、サラマンドるの尻尾、声の棺、七つの夜の香り….エトセトラエトセトラ……
ギルドレ(3)
神代カイルは何者か
世界を救った救世主かも知れない主人公。そんなふわっとした主人公の謎に迫るギルドレ第3巻。
一晩で滅亡した都市へ唯一の生存者を助けに行くのが今回の物語。
なぜ滅亡したのかがわからないまま、主人公カイルと、その主人公を毛嫌いするエース級パイロットの夜見原セロが率いる部隊と共に都市に乗り込む。
パイロットといっても飛行機を操縦するのではなくて、戦闘用ドローンを操縦するパイロット。
この戦闘用ドローンの発想が面白くて、連結すると3メーター級の大剣になったり、自由自在に操れる紙のドローン、ドローン同士をワイヤーで結び、高速回転で物体を切断したり…と近未来感をさらに盛り上げていきます。
文豪ストレイドックスの原作者の作品ですが、古典名作をベースにしているものとは世界観が全く違くて今後の展開が楽しみです。
夜見原の持つ切断型ドローン《ワイヤーバード》。一度回転が始まればどんな装甲でも止めることのできない、怒れる神の刃。
ギルドレ(3)滅亡都市/朝霧カフカ P233
「邪魔だデカブツ」夜見原は手を掲げたまま言った。「割れろ」
内向型人間のすごい力
内向型は豊かさで満ちている
僕は内向型です。多分きっとこれを読んでいるあなたも内向型だと思います。
なぜって、内向型の方が多いいからっていうただそれだけです。
まぁ、これを読んでいるあなたが内向型だろうが外交型だろうがどうでも良いことですね。
世の中には外交型神話が蔓延っていて、内向型はダメで外向型にならなければならない!みたいな考えのせいで肩身が狭いです。
しかし、ニュートンもアインシュタインもハリーポッターの作者もバフェットもガンジーも内向型でした。
彼らは、内向型だからこそ偉業を成し遂げることができたようです。
まぁ、偉業を成し遂げた人物がたまたま内向型だけだったかも知れませんが、だからと言って、内向型が偉業を成し遂げれないということではないですよね。
そんな風に本書は、内向型と外向型の違いや性質を解き明かしながら、僕ら内向型が決して劣っていないということを証明して、僕らの背中を押してくれます。
もし、内向型でいることにコンプレックスを感じることや、無理やり外向型を振舞っていたりするのであれば、本書はとてもオススメです。
僕の上司はガチガチの外向型なので、一緒に仕事をしていると上司のように振る舞えない自分が劣っているような気がしていました。
しかし、本書に出会ってから、そんなことどうでもよくなりました。
外向型の真似事をして振舞うこともバカバカしくなり、少し無愛想な雰囲気になってきた気がしますが、もはやどうでもいいので気にしなくて済んでストレスフリーです。
神話やおとぎ話からでもわかるように、世界の中には多種多様なパワーがある。ライトセーバーを与えられる子供もいれば、魔法学校で魔法を習う子供もいるのだ。手に入れるパワーを全て集められるようとするのではなく、自分に与えられたものをうまく使うのが、万能の秘訣だ。内向型には、豊かさに満ちた秘密の花園の鍵を与えられることが多い。その鍵を本当に我が物にするには、アリスのようにウサギの穴の中へ転げ落ちなければならない。アリスは自ら選択して不思議の国へ行ったのではない。だが、新鮮で素晴らしい冒険の旅は、彼女独自のもだった。
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