渋谷の喧騒が終われば11月。まばらな仮装も揃いは、揃いも揃って赤い服に身を包み始めるのですね。
今週は、ワイン会の人々の物語と、ミッツ・マングローブのエッセイ、転職と副業を掛け合わせて収入を最大化するための本を読みました。
東京ワイン会ピープル
ワインと出会いと秘密
ワインにいい思い出がいないOLの主人公がたまたま出席したワイン会で出会った一人の男性とワインをきっかけに、彼女の世界がぐるりと変わる。
単発で終わるには勿体無いくらい、今後の物語の広がりを感じる作品だった。
気になる彼とは、最初と最後のワイン会でしか会わないし、同期の友人の抱えた秘密、元彼を寝取った読モとの邂逅…と、欲張ろうと思えばまだまだキャラクターたちの世界を広げることができたと思う。
けれど、それを欲張りすぎないでワインを軸にして人間関係を展開させていくからそんな風に思えたのかもしれない。
主人公がワインを口にする度に、唄うようにワインの感想を述べる。その表現が繊細で豊かに表現する。
そんなワインを通して、そのキャラクターの物語を見ることでありふれた物語も魅力的な物語に見えたのかもしれない。
しつこくもなく、物足りなくもない、なんともちょうどいい物語だなぁ。とこの記事を書きながら改めて思ったり。
噛んだら割れてしまいそうに繊細なグラスを伝うその液体は、質のいいルビーを溶かしたみたいにロマンチックな紅色。
東京ワイン会ピープル/ 樹林伸 P152
摩訶不思議な香りを呪文のように漂わせ、時に人の目を覚まさせて、時には子守唄になって体を包み込む。
口に含めばそこには、重厚で優美でたくさんの鍵をぶら下げながら全て開錠されている、罠のように魅力的な扉が待ち受けている。うっかり手を触れれば押しあける前に自分が逆に引きずられ、投げ出されて迷宮に転がり込んでしまう。
ワインワインワイン。
熱視線
アイドル”的”な輝きのワケ
ミッツマングローブによる斜め上から目線の「アイドル」がテーマのエッセイ集。
平成アイドルから昭和アイドル、アスリート、さらにはお笑い芸人、政治家などなど、所謂「アイドル」というよりも、「アイドル”的”」な人たちをミッツ目線でその人の輝きの訳を綴る。
NewsPicksのオリジナル記事で、ミッツ・マングローブの回がありまして、その中でのミッツの視点が面白かったので興味本位で買ってみました。
しかし、あまりテレビを見ないし、昭和アイドルとなると、もうわからない。というか、半分くらいわからなかった。多分名前で調べれば、「あぁ、この人のことか」となるのだろうが、実際そこまで興味がない。
それでも、ほー、なるほどなぁ。と思わされることが多々あり、読んでて面白かったです。
特に、羽生結弦の輝きの訳を『ヒロイン力』と呼称する視点は膝を打つほど納得できました。
しかし、僕は羽生結弦の演技をまともにみたことはない
羽生くんの凄さは、例えば『転倒したシーン』を、瞬時に『立ち上がるシーン』に変換させてしまう『ヒロイン力』です。「お黙りなさい!転んだのではありません!これから立ち上がるところなのです!」と声高らかに凄まれることで、みている側の感情も「勝て!」から「負けないで!ゆづぅ!」になる。
熱視線/ミッツ・マングローブ P12
転職と副業の掛け算
令和時代のサラリーマン戦略
独立して稼ぐのではなく、サラリーマンとして活躍しながらも副業で会社に依存しない稼ぎを目指す。そんな本でした。
筆者の幼少時代からの「稼ぐ」ことに対する姿勢が筆者の実績を物語っていて、そんな筆者と自分のギャップに不毛とわかっていながらげんなりしてしまった。
しかし、そういう姿勢をもって、就職し転職し、副業で稼ぎ、自分の思い描くライフプランに近付こうと努力している筆者に最終的にうらやましく感じてしまった。
実際、彼のツイッターで転職や副業のエッセンスを学び、実践に移した結果利益を得ている人もいるらしいので、やっぱ世の中はやるかやらないかだなぁ。
今のところ転職や副業はあまり考えていないけれど、一つの手段とは思っているので、具体的に考えるきっかけにもなった。
特に、勉強になったことは、自分の実績や技能、評価を自分の会社の中だけで考えるのではなく、この社会全体の中での価値で自分自身を見ると言う事。
学校のテストでいい点を取っても、全国模試で評価をもらわなければ全国の受験生と戦えない様に、その会社でいくら評価されようとも、社外からの評価が芳しくなければ所詮それまで。その会社から出れずに稼ぎも鈍行する。
本当に必要なことは、自分の会社で評価される事ではなく、その会社で、社会から評される実績や技術を身に着ける事なんだなぁ。と思ったり。
これと言った仕事へのヴィジョンを持っていないが、なんとなく稼ぎたいなぁと思っている僕にはいい薬になったかも。
日々の仕事で成果にこだわり、自分の成果に転職と副業を掛け合わせることで、生涯年収を最大化する。この手法は、令和を生き抜く一つの解だと思います。
転職と副業の掛け算/moto P233
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