秋と冬の隙間はいつも何を着ていいかわからなくなって、その隙間をうろちょろしています。
今週は中華ファンタジー、医療ミステリー、森博嗣のWWシリーズを読みました。
いい感じに内容がばらけるなぁ。
後宮の烏
秘密の烏
中華版大奥ファンタジーってところだろうか。
後宮というのが、日本で言うところの「大奥」その中で夜伽をしない特別な妃「寿雪」の元へ皇帝が訪れ、孤独でいた寿雪の世界が少しづつ変わっていく。
落し物の持ち主を探したり、死者を弔ったりとオカルトちっくなファンタジー。
こういう世界観を持つ作品を今まで読んでこなかったのでなかなか新鮮でした。
「友とは、なにをするものなのだ?」
後宮の烏/白川紺子 P318
「私も詳しいわけではないが」
高峻は淡々と返してくる。
「多分、一緒に茶を飲んだりするのだろう。−青」
天久鷹央の推理カルテ
新感覚メディカルミステリィ
現役医師によるミステリィ作品。
頭脳明晰の天久鷹央とその部下である小鳥遊優のコンビが摩訶不思議な事件に首を突っ込む。と言うシャーロックホームズ的なコンビとキャラクタ構成だなぁ
筆者が医師ということもあって、遭遇する事件も医療に絡めた内容になっている。
と言ってもゴリゴリの医療現場が描かれているというよりも、医学の知識が使われているので、そんな事もあるんだなぁ。と新しい知識が流れ込んでくるし、ライトな文章で読んでて楽しい作品でした。
東野圭吾然り、森博嗣然り、理系の描いた物語は使われる知識が普段と違ったりしているので読んでて楽しいんですよね。知らない知識が流れ込んでくるみたいな。
「答えなんかないさ。これは正解を一つに絞れるような、科学的問題じゃない。正解も不正解もない倫理的問題なんだ。私は科学的問題を解くことに関しては天才だが、倫理的問題には無力だ。倫理とは社会の”空気”が決めることだが、私にはその能力が欠けているからな」
天久鷹央の推理カルテ/知念美希人 P142
神はいつ問われるのか?
神の存在を改めて問う
Wシリーズの続編第2弾。いまだにWWの意味がわかってないです。
突然システムダウンした仮想空間アリス・ワールドが今回の舞台。
システムダウンの訳を探るために、アリス・ワールドを管理する人工知能と対話する。
仮想空間がシステムダウンしたことにより自殺者が多発したり、システム管理する人工知能を神として仮定したり。と、ありえない話ではないなぁ…。と笑えないリアルさが都度都度気になる。
高度に発達した科学は魔法と区別がつかない。と言われている。そこからさらに発達してしまえば、神となるのだろうか。
少なくともこの作品では人工知能が神として仮定された議論が行われる。
仮想空間を司るがゆえに神として見られる。そして、それが改めて神という存在を考える。
科学の発達により、人類の発展を支えてきた神はいつの間にか舞台袖へ追いやられていた。しかし、第4次産業革命と言う新たらな神話で人工知能と言う存在に受肉して、神は再びこの世界に顕現することはできるのか。そして、それは人類へ如何なる未来を示すのか。
世界を消すよりも、先に自分が消えようと考える神、それが人間だ。
神はいつ問われるのか?/森博嗣 P264,5
自分が神だと、どうして考えないのか、と言う疑問を思いついた。
それは、神になることよりも、神に縋る方がずっと楽で、安心できるからに過ぎない。安心とは、安らかに眠れること、生を放棄すること、すなわち死を望むことだ。それを、ちょっとした言葉のレトリックでそらし、誤魔化そうとする。
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