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夢の検閲官・魚籃観音記、危機と人類(上・下)

ほんの少し窓から目を離した隙に、太陽は夕暮れに陰る空の色を奪い去ってしまってます。

今週は筒井康隆の短編集と、ジャレド・ダイアモンドの人類の危機についての本を読みました。

夢の検閲官・魚籃観音記

筒井康隆の夢

筒井康隆による短編集。そのうちの2作が本書のタイトル。
眠りについた女の夢に登場する者たちを次々検閲して彼女の夢を管理する「夢の検閲官」と、孫悟空と観音様が一線を超えるちょっとした官能小説(?)「魚籃観音記」
魚籃観音記は、「僕は何を読まされているんだ」と、可笑しくなってしまった。
まぁ、勝手に読んでいるんですけどね。

そのほかにも、「、」と「。」の考察やトイレを我慢する物語、「春だ春だ」とノンストップで語り続ける物語、挙げ句の果てには「時をかける少女」を自ら脚本をぶち壊す作品など詰まりに詰まっていて、飽きもせず黙々と読んでしまった。

どれもこれも突拍子もなくて面白い。その突拍子のなさはまるで夢を見ているようで、これは筒井康隆の夢だろうか。なんて思ったり。

筒井康隆って時をかける少女の脚本を書いていたんですね。まぁ、時をかける少女を見たことはないんですけど。

ステージ・ドアの手前で、少年はふと立ち止まり、自分に注目している検閲官と書記を振り返る。
見送る二人に、少年は軽く頭を下げ、微笑した。「僕を通してくれて、ありがとう」

夢の検閲官・魚籃観音記/筒井康隆 P20(夢の検閲官)

危機と人類(上・下)

危機への系譜

ジャレド・ダイアモンド博士による7カ国が直面した危機を紐解き、今世界が直面している危機にどう向き合うかを考察した本。
各国の資料を積み上げたら1.5m程度になったそうだ。つまり、1.5m×7カ国。

本書で取り上げられている7カ国とは、フィンランド、日本、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリ、アメリカの7カ国。
特に、本書は日本とアメリカに多めにページを割いてくれている。日本人の僕的には、外の国の人から見た日本に好奇心が刺激されてありがたかったが、耳が痛い事実も含まれていたり。

この本ので特に面白いな。と思ったことは、危機に直面し、それを乗り越えたがゆえに今のお国柄が確立されているということ。
例えば、フィンランドの教育レベルが高いのは、戦時に、今持ちうるリソース、つまり人材を最大限に活用して敵国に立ち向かっていた背景があるから。
だから、国の人材をフル活用するために最高レベルの教育を施している。

というような、各国のお国柄を理解するのには良いテキストになるかもしれない。
まぁ、他国に興味なくても、今の日本の成り立ちが理解できるので、なんにせよおすすめですね。

久々にボリュームのある本だったなぁ。

過去において危機はしばしば国家に困難を突きつけてきた。今でもそれは変わらない。しかし、現在の国家や世界は対応策を求めて暗闇を手探りする必要はない。過去にうまくいった変化、うまくいかなかった変化を知っておくことは、私たちの導き手になるからだ。

危機と人類(下)/ジャレド・ダイアモンド P313(エピローグ 教訓、疑問、そして展望)

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