2020年なんて遠い先の事で、深く考えたって仕方ないなぁ。と思ってたあの頃から年が明け続けて気づけば2020年。
あっという間だったし、その頃にはもう少し立派な大人になってるのかな。とか思ってたんですが、その気配が全くありません。
時間の流れは僕らを育ててはくれない。という事ですかね。
今週は、森博嗣のエッセイと、科学的に適職を考えるための本、コンテナが起こしたイノベーションの歴史についての本を読みました。
つんつんブラザーズ
森博嗣、終活か。
一年に1冊か2冊くらいでる森博嗣のテーマのない100のエッセイ集。
毎年毎年楽しみにして読んでいる作品。
鋭さがなくなってきている。なんてことも書いてあって、あぁ、確かにそうかもしれない。と、思ったりもしたが、そういう鋭い思考は一冊の本になって書店に並ぶことが増えてきているからなんじゃないかなぁ。と
あの頃よりも自分の思考を1冊の本として書き出すことが増えてきている分、エッセイは冊数が増えるたびに森博嗣の日常に近づいていっている気がする。
本人は、自分自身の距離が日本社会自体から遠のいているから。とも言っているのでそういうこともあるんだろうな。
初めて僕が森博嗣のエッセイを読んだ頃は読むたびに凝り固まった常識を何度も打ち壊されてきた。今の僕の思考があるのも森博嗣のエッセイのおかげなんだと思う。
そんな森博嗣のエッセイや物語も少なくなって行くのだろうな。森博嗣本人がそういっているのだから。
いつの間にか、自分のことを老人と呼んでたり、ブログもやめようとか出版される本の数も減らそうとか、まるで終活みたいな発言が増えてきた。
自称引退作家が本当に引退するのも、もうすぐそこなのかなぁ。
野垂れ死でも十分なのだが、今の僕のように、大勢の人に存在を知られている仕事の場合は、少し気をつけなければならない。例えば、突然連載が中断するとか、突然ブログの更新がなくなるとか、そんな死を連想させるようなことも迷惑に変わりない。できれば避けたいところである。だから、そこはやはり雄猫のように、少し以前に去っていくことが綺麗なのではないか。格好つけたいのではなく、最低限の礼儀として、である。
つんつんブラザーズ/森博嗣 P213(死ぬ前に、皆さんの前から姿を消しましょう、雄猫のように)
科学的な的職
あなたが最も幸せになれる仕事の探し方
サイエンスブロガーのパレオな男で有名な鈴木裕の新作。
10万本の科学論文と600人を超える海外の科学者や専門医におこなったインタビューからピックアップ、さらに追加調査として組織心理学、経済心理学などのジャンルから数千の研究論文、幸福や意思決定のエキスパート約50人へのインタビューで構成された、僕らが最も幸せになる為の仕事を探すための本。
とにかくエビデンスの量がえげつない。これが2千円払ってお釣りがくるっておかしくないですか?
本書で定義されている「適職」とは「あなたの幸福が最大かされる仕事」のこと。
そして、本書の特徴は、あなたはこういうタイプだからこの辺のしごとが適職です!なんてことは一切言わないこと。
じゃぁ、どうやって探すのか?その答えが本書の中の「AWAKE」という戦略。
僕らが仕事選びを失敗する理由は「視野狭搾」という人間誰もが持つ脳のバク、別名「バイアス」によって引き起こされてしまう。
そんなバイアスに振り回されずに、意思決定の精度を高めて適職を探しましょう。というのがAWAKE戦略。
本書は何もかも驚きと納得の連続なのですが、特に興味深かった内容は、「第1章の幻想から目覚める」という章。
僕らが仕事を選ぶときに必ず考える7つの予想はどれも僕らの幸福を最大化してくれないということ。
その7つの要素とは「好き」「給料」「業界、職種」「楽しさ」「性格」「直感」「適正」というどれも必ず考える要素。
この7つの要素が視野狭搾を引き起こしてたりする。
まぁ、僕はその7つどれも意識せずにノリと勢いで今の仕事を選んだのでショックでもなんでもなかったんですが、世間的に仕事を選ぶときにこれを考える人が多いと思うと、誰も彼もが幻想に惑わされながら仕事を選んでいたのかなぁ。なんて思ったり。
もし幻想に惑わされて仕事を選んで後悔しているのであれば、本書を読んで自分の幸福を最大化してくれる職とはなんだろうか?と考えてみればいいし、
今の仕事もそんなに悪くないなぁ。けど、なんかダレていたなぁ。なんて思っているのであれば、本書の「ジョブクラフティング」というワークで仕事のやりがいを再構築してみるのもいいかもしれません。
僕は後者でしたので、新年をきっかけにゆるりとジョブクラフティングをして行こうかな。と
本書が目指すゴールは、みなさんの仕事選びにおける意思決定の精度を高め、正しいキャリアを選び取る確率をあげ、最終的に「人生の後悔」を限界まで減らすことです。
科学的な適職/鈴木祐 P29(序章 最高の職業の選び方)
(中略)
人の根本的なメカニズムを抑えずに目先の助言だけを求めるのは、病気の原因を知らずに薬やサプリを飲み続けるような物だからです。
コンテナ物語
ただの箱が作り出したイノベーションの物語
イノベーションと聞くと、とんでもテクノロジーで規制概念をぶっ壊す新たなコンテンツ。というのが僕のイメージだったんですが、テクノロジーがなくなってイノベーションってのは起きるんだなぁ。と思わされた一冊。
たかが箱の物語のわりには無駄に分厚い本だなぁ。と思っていたのですが、以前読んだ「隷属なき道」の中のイノベーションの一つはコンテナBOXだと書かれていて、そっこから少し興味を持っていたところ、一新されて販売されていたので購読しました。
確かにコンテナの物語でもあるのですが、一番注目されるべき所はイノベーションによって淘汰されていく仕事、生まれていく仕事、そしてまた淘汰されていく仕事があり、そのサイクルの果てに一時的に平準化された仕事が存在するということ。なんじゃないかな。と
その一時的に平準化された仕事が今の現状で、これらもまたイノベーションによって淘汰されていく。それはAIなのかそれとも他の何かかはわからない。けれども、その淘汰は必ずやってくる。そんないずれやってくる世界に抵抗するのか、それとも別の道を探すのか。そんなことを考えさせられました。
コンテナの歴史が始まった1956年春を思い出して欲しい。あの頃はグローバル・サプライチェーンという言葉すら存在していなかった。あの時ニューアーク港で初めてコンテナを積んで出向するアイデアルX号を見送った誰一人として、貨物輸送がこれほど劇的に変わるとは夢にも思わなかったに違いない。この「箱」の歩んできた道を辿ってみてなんとも驚かされるのは、専門家や先駆者でさえ繰り返し予想を誤ったことではないだろうか。コンテナは、触れるもの全てを変えるという点でも、その変わり方が誰にも予測できなかったという点でも。誠に一筋縄ではいかない存在だった。
コンテナ物語/マルク・レビンソン P372(第15章 付加価値 「箱」と世界経済)
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