お金があれば書店に広がる本をカゴいっぱいに買える。しかし、読む時間がなければいつまでも家のどこかに積まれたままになってしまう。
逆に、時間があればいくらでも本を読む事ができる。気の済むまで熟読できる。しかし、お金がなければ、有り余る時間を費やす本は手に入らない。
なんと言うジレンマか。と、書店で小さく絶望しました。
今週は、天久鷹央のシリーズ2冊と、森博嗣による整理術の本を読みました。
天久鷹央の推理カルテⅣ
悲恋の病と優しき小鳥
知念実希人による天久鷹央シリーズ第4段
今作も3つの短編構成。
亡き恋人の呪いに苦しんでいると言う女性。
ゴミ屋敷の主人に近所の好青年が殺されたと話を持ちかける女性。
遺体の瞬間移動。
今作で、新たなキャラクターが登場。少々クセがあるので今後重要な役割をもって登場してくるのかなぁ。と
そして今回の短編のうち半分を占めるのが、遺体の瞬間移動の物語。
例によって鷹央の明晰な頭脳に謎の瞬間移動が解決するのだが、事件の真相にはたどり着かない。
さらに、その真相は解決できないと鷹央は投げてしまう。
その投げた先は鷹央の部下、小鳥遊優。
鷹央の明晰な頭脳だけではたどり着く事ができない先を埋めるように、小鳥遊優が事件を本当の解決へと導く。
今作は医療ネタが他に比べて薄いなぁ。とか思ったり。
まだ頬に残る柔らかい感触に意識を向けながらため息まじに呟くと、僕はアイスをスプーンで救って口に運ぶ。
天久鷹央の推理カルテⅣ/知念実希人 P306(瞬間移動した女)
若菜が言った通りそのアイスはやけにしょっぱく感じた。
天久鷹央の推理カルテⅤ
神狩り
今週はさらに天久鷹央シリーズをもう一作。
雑踏の中にいると体が腐り始めると嘆く少年。
異常なほどの若返りを促す気功術師の謎。
掌に十字の聖痕が現れ、血の涙を流す奇蹟を体現する預言者。
と、今作も3つの短編構成。
今作は割と医療医療してた感じ。
特に、異常なほどの若返りが起きる症状があることに驚かされた。
そして今作で半分を占めるのが奇蹟を体現する預言者。
神のように祭り上げられた男の言葉を信じた母親は娘の骨髄移植を拒む。
根拠のない神託から娘を守るために鷹央たちは預言者の謎に挑む。
正直、聖痕の謎はなんとなく分かったけれど、血の涙には関しては本当に医療の範囲で全くわからなかった。
まぁ、わからない方が面白くていいんですけどね。
鷹央は手にしていた野球帽を頭の上に置くと笑みを浮かべた。
天久鷹央の推理カルテⅤ/知念実希人 P326(聖者の刻印)
普段、謎を解く時に浮かべる不敵な笑みを。
「それじゃあ、いっちょ”神狩り”としゃれこむか」
アンチ整理術
整理しない生活
天邪鬼な森博嗣による整理術の本。
アンチと書いてあるけど、別に全否定しているわけでもない。
何でもかんでも整理整頓信仰に対するアンチ的なポジション。
そもそも森博嗣本人が整理整頓が苦手。
趣味の工作はやったらやりっぱなし。片付けない。
コレクションもガレージに散り散りにディスプレイ(?)されていたり。
そんな筆者でも整理整頓しているのは、工作に必要なネジと人間関係や思考などの人間の内面的な部分。
そして、筆者は、物理的な整理整頓よりも人間の内側を整理整頓することの方が良いのでは?と本書で語る。
何でもかんでも整理するのではなく、必要なら整理すればいい。そう言う思考と行動が大事なわけで、整理整頓が大切なわけではない。
僕の仕事場は、かつての研究室も実験室も、今の書斎も工作室も、全て霊学なく、ものすごく散らかっている。あらゆるものがいっぱいで、整理も整頓もまるでできていない。こう言う場所で、僕は研究をしてきたし、今は創作をしている。
アンチ整理術/森博嗣 P10(まえがき-整理などしない「整理術)
したがって、僕にはその方面の「整理術」と言うものはない。はっきり言ってしまうと、必要がなかったのだ。整理する時間があったら、研究や創作や工作を少しでも前進させたい、と思っていた。無駄なことに時間を使うなんて馬鹿げている。
すなわち、これが、僕の「整理術」である。
この記事へのコメントはありません。