未だ暮れてない16時過ぎの空から春の足音が聞こえた気がする。
今週は、天久鷹央シリーズと原田マハの作品、世界は存在しないという哲学的命題の本を読みました。
楽園のカンヴァス
7日間の夢物語
芸術家ルソーの「夢」に似た作品「夢を見た」の真贋を定めるべく招かれた織絵とティム・ブラウンの二人は、7日間の7章で構成されたある物語を1日1章読む。
そして、7日目に真贋を判断する。
最も持ち主を納得させる判断した物が、「夢を見た」の扱う権利を手に入れる。
物語はルソーがいた時代を描いた作者不明の物語。
二人は物語の中で悠久の時をルソーと共に旅をする。
その裏で、「夢を見た」を手に入れようとする思惑が駆け巡る。
初めて原田マハの作品を読みました。
美術作品に疎かったので今まで敬遠していたのですが、もっと早く偏見を捨てて手をつけたかったなぁ。と思えるほど素晴らしい作品でした。
とにかく敬遠したままじゃなくてよかった。
物語にはルソーやピカソと言った、偉人が登場するが、美術の知識がなくても十分楽しむことができた。
作り込まれた物語と美術という道の領域から展開されるストーリーに好奇心を刺激され、ワクワクしながらページをめくっていた。
そして、最後のページで震えるほど感動してしましました。
夢を見たんだ。-君に会う夢を。
楽園のカンヴァス/原田マハ P429(最終章 再会)
スフィアの死天使
鷹と小鳥コンビのプロローグ
相変わらずの天久鷹央シリーズです。一気買いしてしまったので仕方ないですね。
今作品は、鷹央と小鳥、もとい小鳥遊優が出会い、初めて二人で謎を解決した物語。
初めて明かされる、天才診断医である鷹央という人物像。
天才的探偵というと、シャーロックホームズからの様式美のような物で、
探偵ものには欠かせない存在。
天才的探偵がいなければ、せっかくの作り込まれた仕掛けのネタバラシをすることもできないミステリーに絶対的必要なピース。
そんな探偵はいつも変人奇人のとんでも人間。
でも、仕方ないよね。天才なんだから。と、今まで(無意識に無理やり)解釈してましたが、
この作品の天才的探偵である鷹央にはちゃんと理由付けというか設定がついているので、荒唐無稽な天才的探偵より多少のリアリティがあるな。と
「天久鷹央なら目の前にいるじゃないか」少女はソファの上で胡坐をかく。
スフィアの死天使/P20 (第一章 邂逅)
なぜ世界は存在しないのか
存在しない世界と無限に広がる意味
世界が存在しないわけがない。現に世界は存在している!
ところがどっこい、世界は存在しないのです。
そもそも世界とは?存在するとは?と、二つを定義して、「なぜ世界は存在しないのか」ということを紐解いていく。
そして、なぜ僕らは「世界」が存在していると思っているのか?という、思い違いを自然科学が捉えている世界像や宗教の意味などの考察を通して、「世界」の存在について考察を深める。新しい存在論の哲学書。
本書はただただ世界の存在を思考実験を重ねながら紐解いていく。
そして行き着く先は、僕らが考える世界は存在しない。ただそれだけの本。
故に、本書を読んでも明日からの仕事の生産性が向上する訳でも、人間関係が良好になる訳でもない。
なぜなら、本書を読んであなたが知ることは、「なぜ世界は存在しないのか」という哲学的命題とその答えだけ。
しかし、そこまでのアプローチから得られる物が沢山あったと思いました。
僕らが当たり前の様に考えている世界は存在しないという哲学的な答えではなく、
世界という概念を都合の良い学問で理由付けをしていたり、当たり前の様に語られる世界という常識は破壊できるという視点。
そして、命題の答えを導くための思考実験の数々。
今まで考えた事のない事を沢山考えることができる本。まさしく啓蒙だな。と
私たちの住む惑星、私の見る様々な夢、進化、水洗トイレ、脱毛症、様々な希望、素粒子、それに月面に住む一角獣さえもが存在しています。
なぜ世界は存在しないのか/マルクス・ガブリエル P8(哲学を新たに考える)
世界は存在しないと言う原則には、それ以外の全てのものは存在しているとい事が含意されているわけです。
したがって、いったん前もって、こうお約束する事ができます。
私の主張によれば、あらゆるものが存在することになる。
-ただし世界は別である、と。
この記事へのコメントはありません。