空気の冷たさに身を絞める日が減ってきた気がしますね。
三寒四温とはこのことでしょうか。
今週は、天久貴央シリーズと、先週に引き続き世界の言葉のことわざバージョン、そして人工肉の話の本を読みました。
幻影の手術室
透明人間とダイイングメッセージ
天久鷹央シリーズも7冊目くらいまで読んだ気がします。
今回登場する怪異的事件は『透明人間』
術後で麻酔がまだ残っている患者と、医師の二人しかいない空間で、
まるで誰かに襲われている様に踠き苦しみ息絶えた。
状況証拠から患者が犯人と疑われる。
透明人間の謎を解き明かし、患者の無実を証明するために天久貴央は怪しき謎を診断する。
シリーズを追うごとにミステリーのクオリティが上がっている気がして、今回も楽しめました。
なんといっても、この著者の作品は医学の知識からミステリーにアプローチしているので、この新しいミステリーの見方が常に新鮮です。
犯人への恨みが、死の混乱と恐怖に勝ることはない。しかし、大切な者への思いは、それらを凌駕する事がある。実際に死に瀕した者が最後の力を振り絞り、家族に言葉を遺す。そういうことは少なくないんだ。
幻影の手術室/知念実希人 P304(シリンジのダイイングメッセージ)
そのような行為こそが、現実に存在する『本当のダイイングメッセージ』なんだろうな。
誰も知らない世界のことわざ
世界を言葉で巡る
先週読んだ『誰も知らない世界の言葉』に続いてことわざ編です。
翻訳できない言葉を集めたのに翻訳されてしまったなんとも皮肉な本。
世界の言葉の数や文化の数だけ言葉がこの世には存在していて、そんな言葉たちを集めた本はなかなか素敵だと思います。
そして、様々な言葉がある中で、表現の違いはあれど、言いたいことは同じな言葉が存在している事が少し不思議です。
個人的に一番気に入ったのが「青の問に、緑の答えを与える。」
という、尋ねられたことに、全く関係ないことを答えるチベット語の諺です。
内容はそのままなのですが、表現がきれいだなぁと。
ぼくは、言葉遊びや比喩がとても好きなので、こういう言葉の表現の本は結構ツボです。
子供の頃にことわざ辞典を隅から隅まで読んでた頃を思いだしました。
私たちは、諺によって安らぎを感じ、笑い、そして平凡でありながらも奥深い生活の一コマ一コマを描写する方法を手にする事ができたのです。
誰も知らない世界のことわざ/エラ・フランシス・サンダース P3(はじめに)
諺は鳥や、蜂蜜、湖について語ります。おどるクマや、割れた壺、スポンジケーキ、雲、ラディッシュについても語ります。
それらの表現は、変わることはあっても、記憶の中で永遠に生き続けることでしょう。
さあこれあら、そうした諺を、あなたのものにしてください。
クリーンミート 培養肉が世界を変える
ステーキを育てる。
まだまだスタートアップの領域だけれども、少しずつ少しずつ世界の食を変えつつある培養肉の始まりとこれから、さらに、畜産業の現実を綴った一冊。
2センチ角程度の肉の細胞を元に、何十万頭分もの牛肉を生み出す事ができる培養肉。
このテクノロジーがさらに発達すれば、僕らは何十億もの動物たちを殺さずに肉を食べる事ができる。
さらに、大量の動物たちを飼育する土地も、動物たちも必要なくなり、牛が排出するメタンガスによる地球温暖化の影響を24%も削る事ができる。
今現在は、ステーキ肉のような分厚肉を作り出すところまでは到達していない。
しかし、ミンチ肉をつくりだしハンバーグを作ることくらいまではできる。
すでに僕らの食生活を支えるには、地球1つでは足りなくなっている現在、この先の未来での人口増加にはいよいよ耐えれなくなる。
そんな未来を救うかもしれない人工肉。
いつかこのテクノロジーが当たり前になった未来が早く来て欲しい。と思った。
適切な研究と投資さえあれば、クリーンミートは今後10年か20年で、牛や鶏を飼育するよりも安く、大量に生産されるようになるだろう。
クリーンミート 培養肉が世界を変える/ポール・シャピロ(序文:ユヴァル・ノア・ハラリ) P7(序文)
ステーキが食べたくなったら、牛一頭丸々育てて殺す代わりに、ステーキを育てるだけで良くなるのだ。
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