近所の梅の木に花が咲き始めたと思ったらもう散り始めました。次は桜の出番ですね。
今週は、推理小説と緩やかなSF作品、文才のあるギャルのエッセイを読みました。
猫には推理がよく似合う
猫と私の探偵遊戯
法律事務所で働く花織と、その事務所で飼われているお喋りな猫であるスコティとの推理合戦。
猫、しゃべるんです。
法律事務所に訪れる厄介ごとを抱えた人達を元に、猫が一つのミステリィを紡ぎ出す。
しかし用意されたのはミステリィの舞台だけ、その先の犯人を花織とスコティで考えるのだが、犯人に近づくにつれて事態は一変する。
なんとなく舞台設定が分かってきたら、物語の終幕もなんとなく分かってしまった。が、しかし、それを裏切るようにもう一幕用意されていたので、肩透かしにならずに満足。
推理ミステリィって手法が色々とあるけれど、土台の数が決まっているから、真相までたどり着かなくても、その手前くらいまでは分かっちゃう時がありますよねぇ。
「花織タンはあたしの推理を聞いてみたくはないの?」
猫には推理がよく似合う/深木章子 P244(第一部 起こるべき事件)
スコティが思わぬことを言い出した。
「あら、もちろん聞きたいわ。是非聞かせて」
大きな鳥にさらわれないよう
人類の未来史の一片
動物の特徴を持つ人間と食料動物を作る工場。
数字の名前を持つ人類。
新たな人類を探す『見守り』という役目。
筆者の豊かな想像力が織りなす人類の破滅的で穏やかな未来を綴った一冊。
物語は細かい短編でつなぎ合わされ、様々な視点から綴られる物語が少しずつ少しずつ、その未来の世界の全貌を明らかにしていく。
最初のうちは何を読んでいるのだろう?と思わされるが、章を跨ぐごとに、筆者の世界観に絡めとられて、気づけばこの世界の姿に気づかされ、読んでいて、
「あぁ、そうなのか」と哀愁を纏った気持ちと穏やかな気持ちが混ざり合い心を通り抜けたような気がした。
耳の長い動物が、向こう岸に近いあたりを泳いでいた。本来食料である動物だけれど、逃げ出して川を泳ぎ切ったものだけは、屠羅れずに済むのだ。
大きな鳥にさらわれないよう/川上弘美 P24(形見)
「あの動物も、道の大陸に流れ着くのかしら」
「そしたら、あの動物も神話の一部になるのね」
待ち人来ずってなんなの私から会いに行くからお前が待ってろよ
文才とギャル
本屋をふらついていたら平積みされていて、タイトルの分かりみが深すぎて手にとってみたら、中身も全て分かりみが深すぎました。
たまに思いだしたように読み解したい一冊です。
SNS界隈では有名人らしくて、友人にタイトルを伝えたら直ぐに分かってもらえました。
ぼくのSNSには一切流れてこないのですが使っているSNSが違うのだろうか。
1、2時間でサクッと読めるのですが、ページをめくるたびに今までにないくらいの共感を覚えました。
筆者は、幼いころから周囲から浮いていたらしいですが、その周囲とのギャップがあったからこそ、筆者らしい言い回しやモノの見方ができて、この本が出来上がったんだと思います。
ローランドの本を読んだ時も思ったのですが、世界から本質を上手ずに切り取って、自分のフィルターを通して、世界を表現できる能力は学歴とは一切関係ないんだなぁ。と
それを世間では文才と呼ぶのかな。知らんけど。
将来の夢を聞かれて職業を答えるのが当たり前みたいな風潮があるから苦しむ人が出てくる。
待ち人来ずってなんなの私から会いに行くからお前が待ってろよ/きらめく星のなったん P134
全人類どう考えても夢は「ハワイでのんびり暮らしたい」だろ。
職業はそこに行き着くまでの手段でしかねえの。
アレクサ、金稼いできて。
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