今週は、一條次郎の新作と天久鷹央シリーズ、そして、次の1万円紙幣の顔である、渋沢栄一の論語と算盤を読みました。
動物たちのまーまー
この世界の裏側へ
「レプリカたちの夜」でとんでもない存在感を魅せた一條次郎の新作。
今作もぶっ飛んでます。
騒音で大きくなる手乗りサイズの猫
人間サイズの喋る猫とアンラクギョ
上司に変身して帆立をせがむプールに住み着いたラッコ
などなど。夢か幻想か、それともそれを通り過ぎた何かか。
とにかく前作に負けず劣らずの世界観。
ページをめくるたびに深まる混沌は、まるで目覚めることの無い夢を延々と見続けた先にある、全てが混じり合った秩序のない世界のような感覚。
裏表紙に書かれた「世界の裏側」という比喩がなんとも的を得ている。
私は驚いて顔をあげた。ユージーンはテレビ画面を見たまま、ピザソースをだらだらとシャツにこぼして言った。
動物たちのまーまー/一條次郎 P11(テノリネコ)
「騒音にさらされると体が成長する性質があるんだ。だからテノリネコマニアは、出来るだけ静かな場所で飼うようにしてる」
魔弾の射手
不可視の弾丸に呪われた一族
天久鷹央の推理カルテから読み始めて、とうとう現時点で全巻読み終わりました。
自殺の名所の一つ、そして「呪いの病院」と噂されている廃病院で一人の看護師が転落してしまった急患が鷹央たちの病院に搬送されるが、手の施しようもなく命を落としてしまう。
状況から見て自殺とみなされる中、一人娘は自殺なんかではないと強く主張する。
彼女の想いに応え調査を始めると、娘と血縁のある者たちが同じように廃病院で転落死が次々と起こってしまう。
調査の中、転落現場を目撃した鷹央たち。その時、皆何者かに撃たれたかのように胸を押さえながら体が崩れ落ち、転落してしまう。
これは呪いなのか、それとも不可視の弾丸に本当に撃たれていたのか?
今までの作品は、読んでいるうちに、もしかしてコレじゃないか?と、予想を立てながら読む事ができたのですが、今作は全く予想を立てる事ができなかったです。
コレは素人にはわかんないなぁ
筆者の得意分野を存分に振りかざされた気分で、鷹央シリーズを初めて読んだ時を思い出しました。
「コレが『魔弾』を発射するための『銃』だ」
魔弾の射手/知念実希人 P339(断空の魔弾)
論語と算盤
近代日本の設計者のバイブル
この前、7つの習慣を読んで「人格主義」を学んでいる時にふと思い出したので、数年ぶりに再読。
2025年に変わる一万円札の人物であり、約470社もの企業の設立・創立に携わった近代日本の設計者「渋沢栄一」が自身の経営哲学を記した一冊。
タイトルに書かれている通り、渋沢栄一は「論語」を全ての哲学の土台としていて、経営にも論語の精神は生きてくる。と考えていたのでこのタイトル。
つまり、論語の精神を持って、算盤を弾く商いをする。ということが詰まっています。
当たり前なのですが、筆者の実体験と自身の考察、論語の解釈と引用で構成されているので、科学に裏づけされたエビデンス重視の本ばかり読んでいたので、すっと入ってこないのが正直なところ。
しかし、こういった人格主義的な考え方を具体的に確立させる、身につけるにはどうすればいいのかなぁ。と考えるきっかけになるので、読んでて背筋がピンとなる本でした。
「ソロバンは『論語』によってできている。また、『論語』もまた、ソロバンの働きによって、本当の経済活動と結びついてくる。だからこそ『論語』とソロバンは、とてもかけ離れているように見えて、実はとても近いものでもある。」
論語と算盤/渋沢栄一 P13(第1章 処世と信条)
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