今週は、原田マハのゲルニカを題材にした小説と、伊坂幸太郎の最新の殺し屋シリーズを読みました。
暗幕のゲルニカ
以前、楽園のカンヴァスを読んで震えるほど感動した原田マハの次の作品。
今作の主役はピカソ。そして、ピカソといえばタイトルの通りゲルニカですね。
そんなゲルニカを巡って物語は、ピカソの時代と3.11同時多発テロの時代を行き来しながら、ゲルニカが放つメッセージを世界に訴える。
普段読む小説に登場する美術作品はいつもお金としての価値を持って登場します。
しかし、本書に登場する美術作品であるゲルニカの価値は、ゲルニカにピカソが吹き込んだメッセージに価値かがあり、戦争に争うシンボルとしての価値を持った作品として扱っています。
楽園のカンヴァスを読んだときにも思いましたが、筆者の経歴が無ければ書けない作品であり、原田マハだからこそ作り上げれる世界観だなぁ。と
「この絵を描いたのは、貴様か」
暗幕のゲルニカ/原田マハ P195(第4章 泣く女)
ぴかそは黒黒と輝く目で武官を見据えた。この世の闇と光、全ての真実を見抜く智の結晶のような瞳で。そして、言った。
「いいや。この絵の作者は-あんたたちだ」
AX
伊坂幸太郎の殺し屋シリーズです。久々ですね。
本作の主人公は恐妻家。
殺し屋の仕事を辞めたいと言いながらしぶしぶ仕事を続け、家族には文房具の営業だと言い、日々妻の言動にびくびくと怯えている殺し屋「兜」
殺し屋としての生業の描写と妻の一挙手一投足に細心の注意を払う日常というシリアスとコミカルな世界を行ったり来たり。
たまに殺し屋シリーズを読んでいることを忘れてしまうほど、クスッと笑える日常が送られている。
そして、殺し屋シリーズを読んでいると聞き覚えのある名前や人物がさらっと登場したりするので、そんな時にもにやっとしてしまう。
朝起きて、妻に顔を合わせると同時に。「今日も一日すみませんでした」と謝るくらいでないと真の恐妻家とは言えない。
AX/伊坂幸太郎 P302(FINE)
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