壁
壁に魅せられる
安部公房による短編集?
ある日突然自分の名前を喪失してしまった男。
謎の動物に影を喰われてしまい、目だけを残して透明な人間になってしまった男。
体が解け、解けた糸に包まれ繭になってしまう男
3部構成になっている物語は明確なつがなりを示すことはないが、不規則なつながりを感じさせる。
物語はどれも歪にねじれ読者を摩訶不思議な世界に誘う。
一度ねじれた世界は元の世界に戻ることなくいびつに捻れ続け、気づけばその世界の展開が気になり次々とページをめくってしまった。
物語の展開に理解が全く追いつかなかったが、それでもこの世界を楽しめた。
人間の想像力は無限大なんだなぁと思わされた
壁、それは古い人間のいとなみであると彼は思いました。それから、壁は実証精神と会議精神の母胎であると考えました。
壁/安部公房 P134(第一部 S・カルマ氏の犯罪)
すると一つの詩句が彼の眼と唇の間で歌い出すのでした。
アイデアのつくり方
アイデアの原則
アメリカ最大の広告代理店の常任最高顧問による100ページに満たないアイデアの作り方の本。
アイデアの作り方は5つのステップで解説されていて、そこだけで50ページしか使われていない。
しかし、これ以上語る必要はないくらいシンプルでわかりやすい。
むしろ、これに従って早速アイデアを練る第一ステップを踏み出したほうが細かい話を聞くよりも有意義だろう。
シンプルが故に、骨子を読み取ることができる。
ページが多ければいいてもんじゃないですね。
私はこう結論した。つまり、アイデアの作成はフォード車の製造と同じように一定の流れ作業である事、その作成に当たって私たちの心理は、習得したり制御したりできる操作技術によってはたらくものである事、そして、何であれ道具を効果的に使う場合と同じように、この技術を修練する事がこれを有効に使いこなす秘訣である、という事。
アイデアのつくり方/ジェームス・W・ヤング P18
シカゴ・スタイルに学ぶ、論理的に考え、書く技術
明晰かつ判明な思考
「シカゴ・スタイル」とはシカゴ大学で用いられている論文の書き方。
僕は論文なんてものを書くような仕事をしているわけではないのですが、文章の理解の仕方や文章の組み立て方、特に、説得力を持った文章の組み立て方が勉強になりました。
説得力のある文章を書くには、論理が正しく運ばれてなければいけない。正しく運ぶためには頭の中で理由や根拠がしっかり整理されていなければならない。
そんな情報の整理の仕方や文章の運び方が学べます。
個人的に今まで読んできた文章術系の本で一番ためになった本ですね。
もうこれさえあれば大丈夫なような気がする・・・
シカゴ式に考え、文章を書く方法は、単に「論文」を書くときにだけ役立つわけではい。むしろ、物事を理論的に整理し、それを他人に効果的に伝達するためのものなのです。
シカゴ・スタイルに学ぶ論理的に考え、書く技術/吉岡友治 P6
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