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銃・病原菌・鉄、40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた

コロナ自粛期間のほとんどを有給消化に当てた生活が最近やっと最適化されてきました。
いい感じに充実した毎日を過ごしているのですが、自粛が終わったあと社会復帰ができるかどうか怪しいです。

今週は、ジャレッド・ダイアモンドによる人類史と神経学者が一番興味を持ってる脳の話を読みました。

銃・病原菌・鉄

人類文化の差の謎

「なぜ、現代世界には文明間で格差が生じているのか?」
世界の行先を担う国がある反面、いまだ世界にはアメリカ先住民のような原始的な生活をしている国がある。
さらには、「富や権力はなぜ現在のような形で世界に格差を持って配分されたのか?」
「かつてアメリカ大陸開拓のために遥々海を渡ってきたヨーロッパ系が行った先住民の殺戮や征服、絶滅などは、なぜ、逆の歴史を辿らなかったのか?」
改めて問われなければ思いつかなかった疑問を人類1万3000年の人類史を遡り、現在を作り上げてきた世界格差の謎を解き明かす。

タイトルの『銃・病原菌・鉄』とは、ヨーロッパ人が新世界を植民地化する事ができた様々な要因を凝縮して表現したもの。
この3つの要因を皮切りに、1万3000年前まで遡る。

結論としては、各所で成り立っている格差は全てそれぞれの環境が偶然良かっただけ。とのこと。
人種間での優劣があったわけではない。
人類の繁栄は栽培できる植物や家畜化しやすい動物が身近にいたこと、そして、それを栽培し飼育する事ができる適度な環境に生まれた事。
世の発明も、発明品をもとにそれを有効活用する環境と、それに対する人口の分母が多かっただけ。
全ては偶然の産物である。という事。

よくよく考えれば、そもそも自然というものは誰の最も優劣もなく、ただただ環境に対して自生し続けるだけ。
そこに木が生えているのも川が流れているのも、土砂崩れが起きるもの全て偶然の産物。
その偶然の産物の上に生きている僕らの環境も偶然の産物でしかないんだなぁ。と

「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それは何故だろうか?」というヤリの問いかけは、まさに更新世以降の人類史、そして現代人類社会の核心をついていると言える。

銃・病原菌・鉄(下)/ジャレッド・ダイアモンド P365(エピローグ)

40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた

マニアックな脳のエッセイ

神経学者が一番語りたい脳の働きや仕組みを40個詰め込んだマニアックなエッセイ。

「目の異常な仕組み」や、「神経伝達物質はいくつ存在するのか?」など、なかなか聞く機会のない突っ込んだ内容で読む人を選ぶんじゃないのか?と思って読んでいたけど、
「美人は何故美しいのか?」や「『心』をもつマシンは必ず作れる」など、興味をそそられる内容もあったりするので、全部を読まなくても、興味を引き付ける内容だけ読めば十分楽しめる本だった。

個人的に一番面白かったのは、「視覚は直能力だ!」という内容。
視覚で捉えたものを僕らは瞬時に判断する事ができる、例えば、物の材質だったり、向こうから歩いてくる人の表情を読み取り、機嫌を察知したり、と人間の視覚は見ただけで様々な情報を僕らに与えてくれる。
しかし、映像を読み取る仕組みは説明できても、これらの働きが何故起きているかはいまだに説明がつかないという事。

当たり前のように見ている景色も、学問の世界に落とし込む謎だらけで、世界は本当に謎に尽きないなぁ。と

この本の企画は、35人(組)の神経学者に、ある簡単な質問をするところから始まった。
「脳の働きについて世の中に向けて話すとしたら、一番語りたいことはなんですか?」
彼らの回答には、それぞれの執筆者の魅力的な性癖が現れていた。もし他の35組みに尋ねていたら、この本がまるで違う本になっていただろうことは想像に難くない。

40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた/デイヴィッド・J・リンデン P273(エピローグ)

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