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天才を殺す凡人、「学力」の経済学、150年前の科学誌「NATURE」には何が書かれていたのか

今週は、企業の中の「天才、秀才、凡人」の相関に関する本と、学力と経済の相関について書かれた本、そして、150年前に創刊された科学雑誌NATUREには当時何が書かれていたのか?について書かれた本を読みました。

天才を殺す凡人

企業の力学

天才を殺す凡人とはなかなかスリリングなタイトルですが、内容を読むと、これ以外のタイトルはないな。と思うほどの一冊でした。

本書に登場する様々なキャラクターにはそれぞれ大まかに役割があり、それが「天才」「秀才」「凡人」

そして、これらは企業における「アート」「サイエンス」「クラフト」にそれぞれ対応しています。
「アート」とは、時代を牽引する新しいイノベーションなどの創造性
「サイエンス」とは、「アート」を現実・拡大化する仕組みや理論
「クラフト」とは、「サイエンス」をもとに実際に作り上げ、お金に変える人々

つまり、「天才=アート」「秀才=サイエンス」「凡人=クラフト」ということになります。
そして、これらの割合はピラミット型になっていて、当然ですが「天才」を頂点にして、割合が高まってきます。
この割合によって天才は殺されてしまうのです。

「天才」は世界を変えるようなより良いものを作り上げようとしますが、「天才」と「秀才」「凡人」には深い溝があり、「アート」つまり、その創造性をなかなか理解してもらえません。
そこに「サイエンス」つまり、数字や理論を用いる「秀才」がわかりやすいビジョンを提示します。
「凡人」はそれらを比べわかりやすい「サイエンス」へ群がり、群衆による多数決で天才は殺されてしますうのです。

本書を読んで、なるほどなるほど、と膝を撃ちまくりました。
そして、この企業の力学をこんなにもわかりやすく紐解いた筆者もなかなかすごい人間だなぁと2度感嘆しました。

さぁ、才能を理解し、愛するたびに出かけてみましょう。

天才を殺す凡人/北野唯我 P12

「学力」の経済学

子育てを科学する

経済学の観点から子育て、特に「学力」にフォーカスした、子育ての結論。
科学的根拠に裏付けられているので、現時点では正しい子育てなんじゃないでしょうか。

子育てでよく聞く疑問、例えば、
ゲームは子供にとって、良いものなのか悪いものなのか?
ご褒美で釣っても良いのか?
子育てに投資するタイミングはいつなのか?
などなど、よくある疑問に決着をつけてくれます。

今のところ僕には子供もいなければその予定もないのですが、将来子供ができた時にこの知識は間違いなく役に立つな。と思います。
特に、子供に投資するタイミングは衝撃です。
そして、子供っていうのは金がかかるんだなぁ。と、しみじみ思いました。

子供は未来の世界を担う財産だから、今までの古い常識や偏見はとっとと捨てて、可能な限り裏付けされた教育を施すのが、親残せる最大の遺産だと僕は思います。

「人間は騙せても、データは騙せない。集取したデータを分析し、社会の構造を明らかにする事が、いかに自分たちの生活を大きく変える可能性があるか理解して欲しいのです。」

「学力」の経済学/中室牧子 P7(はじめに)

150年前の科学誌「NATURE」には何が書かれていたのか

人類共通の財産

科学雑誌「NATURE」といえば、誰もが知っている有名な雑誌ですよね。
そんなNATUREは150年前の1869年に創刊されました。
その創刊当時はどんな事が書かれていたかをピックアップして、わかりやすく解説をつけてくれた一冊。

ピックアップされた記事は、
「カッコウの卵の色」や「ダーウィンの進化論」など科学的な内容だけではなく、「女性の学問への進出」や「国家の科学への出資」など、歴史的に興味深い内容まで取り扱っていたようです。
さらには、鎖国後の日本に訪れた研究者たちのレポートなどもあったり、科学に興味がなくても十分楽しめる内容でした。

当時のNATUREは科学者だけが読むものではなく、知識人たちに向けて作られていました。
そのころはまだ科学が今のように専門的に発展していなかったので、それなりの知識と興味があれば楽しむ事ができたのでしょう。なので、おそらく今のようなガチガチの専門誌というよりも、もっとカジュアルな雑誌だったのかもしれません。

150年もの間そこに掲載されてきた科学論文は、近代以降の人類の科学における重要な足跡であり、150年前のnatureは、もはや“人類共通の財産”と言っても良い存在です。

150年前の科学誌「NATURE」には何が書かれていたのか/滝沢美奈子 P10

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